比セブン・イレブン好業績、株価3年間で24倍に

2012/04/09

2011年は悪環境下で20%増益(前年78%増益)
年末店舗数25%増の689店、直近で708店

フィリピンのコンビニエンス・ストア業界が離陸期入りし、高成長を続けている。そして、業界トップ(店舗数シェアで約50%)のセブンイレブンをミニストップやマーキュリー・セルフサービスが追うという構図になっている。


 フィリピンのセブン・イレブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが56.59%を所有(2011年12月末現在)するフィリピン・セブン社(PSC)によって運営されている。PSCは1982年11月に設立され、同年12月に米国テキサス州ダラスのサウスランド社(その後セブン-イレブン社に社名変更)からフィリピンでのセブン-イレブン運営ライセンスを獲得。1998年2月4日に、フィリピン証券取引所(PSE)に上場した。

  このPSCが4月4日に2011年度(1月~12月)アニュアル・レポートを公表した。それによると、2011年のPSCグループ総収入は前年比25%増の106億4,300万ペソ、物品売上高は同24%増の94億3,560万ペソ、純利益は同29%増の3億5,634万ペソと二桁増収増益決算となった。2011年の1店舗当たり1日の来客数は平均1,000人、客単価は同49ペソであった。

 2011年は、景気鈍化、前年に発生した総選挙特需(投票日は2010年5月10日)がなくなったこと、夏の到来が遅れたこと、エネルギーコストや人件費などの上昇など、ビジネス環境はかなり悪化したといえる。実際、上半期は前年同期比9%の減益であった。しかし、新規出店効果、商品構成見直し、効率化、公共料金支払いやクレジットカード取り扱い拡大などによる一層の顧客利便性向上などにより、環境悪化に対応、下半期に急回復し通年では連続の二桁増益決算となった。ちなみに、2011年は、選挙特需、好天候などにより78%増益と非常に好調であった。

 2012年も景気回復、新規出店効果、コンビニの認知度の一層の高まりなどにより、業績の上昇基調が続くと見込まれる。

 2011年12月末のフィリピンでのセブン・イレブン総店舗数は689店に達し、前年末の551店から138店、率にして25%増加した。689店舗のうち、直営店が245店舗、フランチャイズ店が444店舗。2011年中に650店体制という目標を掲げてきたが、それを大幅に上回るぺースで推移している。
 
 フィリピンでのセブン・イレブン第1号店は、1984年2月にケソン市エドサ通り沿いにオープンした。当初の出店ピッチは鈍かったが、2000年の小売業界規制緩和を契機に出店ピッチが速まった。そして、2006年末287店、2007年末311店、2008年末368店、2009年末447店、2010年末551店、2011年末689店と順調に拡大している。ウエブサイトによると、2012年3月末で708店に達している。
 PSCは2012年に150店出店、2012年年末までに800店とすることを目指している。さらに、2013年末には1000店とする方針を表明している。

 フィリピンのコンビニ業界やPSCの成長期入りとともに、フィリピン証券取引所(PSE)におけるPSCの株価が大幅上昇している。PSCの商いは薄く、その株価は2009年第1四半期から第3四半期までは2.50ペソに張り付いていた。ところが、2009年末に7.00ペソへ、2010年末は14.32ペソ、2011年末に25.90ペソまで上昇した。2012年に入ると、株価上昇に弾みがつき3月中旬には一時60ペソまで上昇した。すなわち、2009年第3四半期までの2.50ペソからは約3年間で一時約24倍まで急騰したことになる。

 なお、PSCアニュアル・レポートによると、2011年末のフィリピンのブランドコンビニエンス・ストアの総店舗数は前年末比17%増の1,384店。シェアはセブンイレブン50%、ミニストップ23%、マーキュリー25%、サンミゲル・フードショップ2%となっている。 

 フィリピンのミニストップは、ロビンソンズ・コンビニエンス・ストアーズ社(RCSI)によって展開されている。RCSIは、三菱商事、ミニストップ株式会社、ゴコンウェイ・ファミリー傘下のロビンソン・リテイル・グループとの共同事業である。昨年のミニストップ株式会社の出資比率引き上げにともなう戦略見直しなどで2011年の店舗数は減少したが、戦略見直し後は再び増加すると見られる(フィリピン・セブンの2011年アニュアルレポートなどより)。

 フィリピンのブランドコンビ二エンス・ストア店舗数とシェア

2010年末店舗数 2011年末店舗数 2011年末シェア
セブン・イレブン 551 689 50%
マーキュリー・セルフサービス 287 345 25%
ミニストップ 336 325 23%
サンミゲル・フードショップ 13 25 2%
合計 1,187 1,384 100%
(出所:フィリピン・セブン資料より作成、ミニストップ店舗数は日本側発表と多少異なる)