史上最高値圏の株価、金融や不動産株が主導
2012/04/07
第1四半期に時価総額13%増加、10兆ペソに迫る
外人買越し既に193億ペソ(昨年年間で565億ペソ)
このところ、フィリピン経済の堅調さや今後の有望性に対する注目度が高まっている。それとともに、フィリピン株式市場が非常に強い動きを続けている。
フィリピンの代表的な株価指数であるフィリピン証券取引所株価指数(PSEi)は、2011年に4.1%上昇した。2009年の63.0%、2010年の37.6%に続いての3年連続の続伸となった。 2011年年間上昇率4.1%はその前の2年間に比べ急鈍化したかたちとなったが、世界的な株価調整のなかでは、相対的には非常に強かった。世界の流動性のある株式市場の中では、米国NYダウ工業株30種平均の5.5%上昇に続く第2位のパフォーマンスであった。アジアのなかでは、インドネシアの同3.2%上昇を上回り上昇率トップであった。
2012年に入って、PSE株価指数は上昇ピッチを高めている。1月10日に5カ月ぶりに過去最高値を更新、その後も上昇基調を続け、3月16日には終値ベースでの史上最高値5,145.89ポイント、3月19日には場中の瞬間値ベースでの史上最高値5.146.17ポイントを記録した。2012年第1四半期(年初3カ月間)累計では16.8%の上昇となっている。
2012年第1四半期のセクター別株価指数パフォーマンスは、トップが金融の30.44%上昇。以下、不動産の27.04%上昇、持株会社の21.13%上昇、鉱業・石油の10.52%上昇、工業(製造業、電力・エネルギー、建設など)の10.48%上昇、サービスの8.39%上昇と続く。
2011年は、前半の金融引き締めを背景に、不動産が6.4%下落と最低のパフォーマンス、金融も0.77%の上昇にとどまったが、2012年はインフレ沈静化やそれに伴う金融緩和の動きで、逆に、金融株、不動産株が上昇率1位と2位となっている。金融や不動産セクターの業績は苦戦が予想されていたが、発表された2011年決算では悪環境下の中で最高益計上が続出したこともあって、2012年は現時点では金融、不動産という金利敏感株が牽引役になっている。
2012年第1四半期末時点のPSE上場企業時価総額は9兆8,101億ペソで、2011年末の8兆6,970億ペソから12.8%増加した。国内企業の時価総額は2011年末比13.3%増の8兆2,027億ペソへと増加。一方、外資系企業(マニュライフとサンライフのカナダ系2社、カナダや米国市場等と並行上場)の時価総額(ペソベース)は同10.2増の1兆6,073億ペソとなっている。
第1四半期の1日当たり平均売買代金は78億5,000万ペソで、2011年の平均57億1323万ペソを37%上回るペース。外人の売買高シェアは40%で、2011年の37.8%から上昇。一方、外人の買越額は既に約193億5,000万ペソに達している。ちなみに、2011年は年間で約565億ペソ、2010年は同356億ペソの買越であった。
フィリピン証券取引所株価指数 | ペソ対米ドルレート | |||
年 | 年末・月末値 | 上昇率 | 年末・月末値 | 上昇率 |
2007年 | 3,621.60ポイント | 21.4% | 41.280ペソ | 15.8% |
2008年 | 1,872.85ポイント | -48.3% | 47.520ペソ | -15.2% |
2009年 | 3,052.68ポイント | 63.0% | 46.200ペソ | 2.8% |
2010年 | 4,201.14ポイント | 37.6% | 43.840ペソ | 5.1% |
2011年 | 4,371.96ポイント | 4.1% | 43.840ペソ | 0.0% |
2012年1Q | 5,107.73ポイント | 16.8% | 42.934ペソ | 2.1% |
2012年のセクター別株価指数上昇率など(3月30日時点)
項目 | 3月30日終値 | 年初からの上昇率 | PER(株価収益率) | 昨年の上昇率 |
フィリピン証券取引所指数 | 5,107.73 | 16.83% | 18.34倍 | 4.07% |
全株指数 | 3,458.73 | 13.59% | 24.45倍 | 1.28% |
金融セクター指数 | 1,263.83 | 30.44% | 15.46倍 | 0.77% |
工業セクター指数 | 7,815.83 | 10.48% | 18.44倍 | -2.02% |
持株会社セクター指数 | 4,243.85 | 21.13% | 16.46倍 | 3.39% |
不動産セクター指数 | 1,881.71 | 27.04% | 22.46倍 | -6.40% |
サービスセクター指数 | 1,751.93 | 8.39% | 20.46倍 | 1.63% |
鉱業・石油セクター指数 | 25,978.59 | 10.52% | 17.75倍 | 68.52% |
フィリピン証券取引所の指数、規模、売買額等の推移
項目 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年第1四半期 |
PSE株価指数終値 | 1,872.85 | 3,052.68 | 4,201.14 | 4,371.96 | 5,107.73 |
期末時価総額(億ペソ) | 40,692 | 60,291 | 88,611 | 86,970 | 98,101 |
国内企業時価総額 | 24,741 | 39,919 | 68,922 | 72,390 | 82,027 |
外国企業時価総額 | 15,952 | 20,372 | 19,689 | 14,580 | 16,073 |
1日平均売買(億ペソ) | 31.1 | 41.1 | 49.5 | 57.1 | 78.5 |
外人の売買代金シェア | 48.7% | 32.4% | 38.1% | 37.8% | 40.0% |
外人買越額(億ペソ) | -221.6 | 149.2 | 356.2 | 565.2 | 193.5 |
期末上場企業数 | 246 | 248 | 253 | 258 | 258 |
上場国内企業数 | 244 | 246 | 251 | 256 | 256 |
上場外国企業数 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 |
資金調達額(億ペソ) | 315.5 | 387.7 | 849.4 | 1,075.0 | N.A |
PER(株価収益率) | 8.95倍 | 23.26倍 | 21.32倍 | 16.57倍 | 18.34倍 |