比ITアウトソーシング事業、100億ドル産業に

2012/04/05

コンタクトセンター事業、53億ドルで世界首位に
日本、投資国シェア16.8%、輸出先シェアは3.6%
 

 フィリピン中央銀行は4月4日、2010年フィリピンIT-BPO(情報技術-業務アウトソーシング)産業動向レポートを発表した。


 それによると、フィリピンのIT-BPO産業は2010年も力強い成長を続けた。総収入は前年比21.8%増の101億米ドルで二桁成長となった。オフショア・コール(コンタクト)センターの継続的な需要拡大に支えられた。

 IBMのグローバル・ロケーション・トレンドによると、2010年にフィリピンはコンタクトセンター部門で世界第1位になった。収入と雇用創出という点でインドを追い越し、世界のコンタクトセンター中心地として先頭を走っている。

 フィリピンのIT-BPO業界を収入別に見ると、コンタクトセンターが53億米ドルで、全体の52.3%を占めている。次いで、その他のBPOビジネスが25億米ドル(シェア24.4%)、ソフト開発が22億米ドル(シェア21.9%)。コンタクトセンターが同業界の成長の原動力となっている。

 2010年の比IT-BPO業界の輸出総額は前年比22.7%増の95億米ドルで、輸出が同業界全体の収入の94.2%を占めた(前年は93.4%)。

  比IT-BPO業界にとって最大の輸出市場は米国で輸出額は76億米ドル(シェア80%)、次いで欧州9億3,900万米ドル(シェア9.9%)、日本3億4,100万米ドル(シェア3.6%)。

 2010年末時点の同業界への株式投資は前年末比69.9%増の44億米ドルに達した。そのうち、外国投資は97.6%(43億米ドル)を占め、その半分以上に当たる56.4%(24億米ドル)がコンタクトセンターへ投資された。投資国別では、米国30億7,900万米ドル(シェア71.8%)、次いで日本7.億1,900万米ドル(シェア16.8%)、欧州3億1,400万米ドル(シェア7.3%)と続く。

 また、雇用に関しては、同業界で働く従業員数は2010年には53万6,128人に達し、前年を20.5%上回った。フィリピンの強みは労働者の高い英語会話能力および西洋文化に対する理解の深さと馴染みである。

 2010年のIT-BPO産業動向調査の対象企業数は811社(前年736社)で回答率は60.7%であった。これらの企業は様々なIT-BPO協会・組合のメンバーで、フィリピン経済区庁(PEZA)、投資委員会(BOI)等貿易産業省(DTI)の付属機関に登録された企業である(12年4月4日のフィリピン中央銀行発表より)。