サンミゲル、フィリピン航空などへの出資決定

2012/04/04

40%超の間接出資、総出資額は約5億ドルか
格安航空会社エア・フィリピンにも

 多角化を推進してきているサンミゲルが、ついにフィリピン航空や格安航空会社エア・フィリピン(エアフィル)へ経営参画することとなった。

 サンミゲルは、ルシオ・タン氏グループとの間で、ルシオ・タン氏傘下のフィリピン航空とエアフィルへの経営参画に関しての交渉を長らく続けてきた。そして、4月3日夜に、ルシオ・タン氏との間で、サンミゲルによるこの2社への経営参画(マイノリティ出資)が合意に達し、投資合意書への署名が行われた。

 具体的には、サンミゲルの100%子会社であるサンミゲル・エクイティ―・インベストメントが、フィリピン航空の持ち株会社であるトラストマーク・ホールディングス(トラストマーク)と、エアフィルの持ち株会社であるズーマ・ホールディングス&マネジメント(ズーマ)から新株を取得というかたちで、フィリピン航空とエアフィルに間接出資を行う。

 その出資はマイノリティ出資であり、この2社の主導権は依然、ルシオ・タン氏グループが維持する。4月4日のPSEでの発表では、サンミゲルの出資比率や出資額は公表されなかった。ただし、「マイノリティ出資とは言いながら出資比率は約40%以上であり、サンミゲルの総出資額は約5億ドルと高水準である」と報じられている。

 トラストマークとズーマはルシオ・タン氏によって支配されている。そして、トラストマークは、フィリピン航空の株式保有・管理企業であるPALホールディングス(フィリピン証券取引所上場)の株式約97.731%を保有(2011年12月末)している。そして、PALホールディングスはフィリピン航空の株式84%を保有している。一方、ズーマはエアフィル株式とPALホールディング株式を保有している。

 なお、4月10日付けフィリピン・インクワイアラー紙電子版などによると、サンミゲルの出資決定を受けて、フィリピン航空とエアフィルは、新たな機体新鋭化プログラム着手意向を表明した。そのプログラム投資額は10億ドルに達する可能性があるとのこと(12年4月4日のフィリピン証券取引所回覧2557-2012号などより)。