フィリピンの商業銀行、環境悪化でも最高益続出

2012/03/27

昨年の純利益15%増の962億ペソ、ROE12.58%
純利益首位はBPI、総資産・預金額首位はBDO

 中央銀行統計によると、フィリピンの商業銀行(拡大商業銀行=ユニバーサルバンクを含む)の2011年純利益は前年比15%増の961億6,500万ペソと二桁増加した。総資本利益率(ROA)は1.52%、自己資本利益率(ROE)は12.58%に達した。

 フィリピン証券取引所(PSE)に上場する銀行の2011年度(1月~12月)決算発表も出揃ったが、個別でも総じて好調である。

 2011年は国内外の景気鈍化、欧州債務問題など業界環境は悪化したが最高益更新が続出している。好業績の要因は融資拡大努力や低コスト資金調達などにより純金利収入が高水準を維持したこと、非金利収入が総じて好調であったことにくわえて、営業費用を抑制したことなどである。

 まず、創業160周年を迎えたアヤラグループの優良銀行ザ・バンク・オブ・ザ・フィリピン・アイランズ(BPI)の純利益は前年比13.4%増の128億ペソに達し、史上最高益連続更新するとともに、業界トップの座を維持した。

 総資産ベースで第2位のメトロバンクの純利益も前年比32%増の110億ペソと大幅増加、史上最高益更新で、純利益ベースでも業界第2位となっている。

 総資産ベースで首位のBDOユニバンク(BDO)の純利益も同19%増の105億ペソと二桁増加した。合併を繰り返してきたBDOユニバンクであるが最高益更新といえる。

 このビッグ3に続く有力銀行のリサール商業銀行(RCBC)純利益も前年比18%増の51億8,000万ペソへと二桁増加、世界金融危機の影響から回復した2009年以降、3年連続の業績続伸となった。また、フィリピン・ナショナル・バンク(PNB)の純利益も同44%増の39億ペソでこの6年間での最高益となった(詳細は別項にて)。

 一方、貯蓄銀行大手のフィリピン・セービング・バンク(PSBank)の純利益も前年比12%増の20億ペソに達し、連続での最高益更新となった。ちなみに、2010年は50%増益であった。堅調な業績の主要因は、中核ビジネスである個人向けローンが好調に伸びたことである。ちなみに、自動車ローンは13%、住宅ローンは9%増加した。

 2011年末の総資産トップはBDOユニバンクの1兆1,025億ペソ、2位がメトロバンクの9,593億ペソ、3位がBPIの8,359億ペソであった。また、受け入れ預金高トップはBDOユニバンクの8,572億ペソ、2位がBPIの6,825億ペソ、3位がメトロバンクの6,820億ペソであった(各行の2011年決算資料や中央銀行資料などより)。