商船三井、フィリピンでの船員教育体制強化

2012/03/21

産学連携、「士官候補生プログラム」を導入
 

 商船三井のフィリピンにおける船員育成・教育・訓練活動が一段と強化されている。


 商船三井は、船舶運航における高い安全水準を支える船員の育成を目的とし、フィリピン国内の提携商船大学から選抜した3年次の学生を対象に「士官候補生プログラム3rd Year Program)」を導入し、昨年6月より商船三井の訓練施設マグサイサイ・インスティチュート・オブ・シッピング (MIS)にて教育・訓練を実施してきた。

 このほどその第一期生となる学生84名がMISでの座学課程を修了し、これを祝う式典が執り行われた。式典には、シンホロソ・ビラグ理事、商船三井の平塚惣一専務執行役員らが出席した。

 この、プログラムはフィリピン政府の推進する産学連携プログラムの下、大学教育相当として認可されたプログラムである。選抜された学生は大学教育課程の後半2年間を商船三井教育施設ならびに運航船舶にて教育を受ける。学生はMISでの座学課程を修了後、商船三井保有訓練船““スピリット・オブ MOL”や運航船での12ヶ月に亘る乗船訓練を経て、商船三井の船員として採用される予定である。

 なお、商船三井は1993年に、マグサイサイ・マリタイム社と共同でMISを設立、商船三井運航船の乗船に備え、徹底した安全教育、各種実務訓練や規律訓練を行ってきている。2007年からフィリピンの特定商船学校と提携し、補講による学生の能力向上や教員に対する技能的なサポート、海事カリキュラムの強化等を通じて、教育体制の整備・強化に貢献している。

 一方、日本郵船も2007年に、マニラ近郊カンルーバン市でNYK-TDGマリタイムアカデミーを開校している。この商船大学は、日本郵船の創業120周年記念事業の一環として設立されたものである。そして、従来の教育訓練施設とは異なり、「フィリピン高等教育庁」の認可を取得した正式な大学であり、3年間の講習と1年間の乗船実習の4年制商船大学である。
 
 世界的な船員不足が懸念されているなか、日本商船隊に乗り組む船員の97%は外国人船員であり、優秀な外国人船員を確保・育成することは、日本外航海運の安全性、安定輸送を確保するうえで、喫緊の課題である。しかし、アジア諸国の船員教育機関では、優秀な教官が不足しているとともに、施設整備の遅れや乗船訓練機会の不足等のため、十分な教育を行うことができていなかった。
 そこで、日本は関係国との間で、官民連携、産学提携などによるアジア人船員教育の取組みを強化しつつある(12年3月21日の株式会社商船三井プレスリリースなどより)。