アヤラコープ、2011年は実質16%増益

2012/03/12

銀行、不動産、水道事業等が史上最高益
今年の投資予定額38%増の910億ペソ

 アヤラコーポレーションがグループの2011年度(1月~12月)の連結決算を発表した。

 それによると、2011年の収入は前年比9.6%増の1,075億3,200万ペソであった。一方、費用は同11.0%増の878億6,500万ペソ。この結果、税引き前利益は同4.1%増の196億6,800万ペソ、当期純利益は同1.2%減の157億9,900万ペソ、株主帰属純利益は同15.8%減の93億9,489万ペソにとどまった。ただし、一時的損益を控除したコア純利益ベースでは16%増益であった。実質16%増益の背景は主力事業が総じて好調であったこと。

 フェルナンド・ソベル・デ・アヤラ社長兼COOは「不動産、銀行、通信、水道などのコア事業が、競争激化にもかかわらず、安定成長を継続させたことが特筆される。各事業が、市場のニーズに対応した革新的商品やサービスの積極的開発や提供が好業績につながっている。今後も安定した業績が続くと確信している」とコメントした。

<アヤラ・コープ傘下の上場企業の動向>
 不動産事業担当のアヤランドの収入は前年比17%増の442億ペソ、報告純利益は同29%増の81億ペソ、株主帰属純利益は同31%増の71億4千万ペソと二桁増収増益決算、2年連続での史上最高益更新となった。

 創業160周年を迎えた優良銀行ザ・バンク・オブ・ザ・フィリピン・アイランズ(BPI)の純利益も前年比13.4%増の128億ペソに達し、史上最高益連続更新となった。有力水道企業であるマニラ・ウオーターの純利益も、前年同期比7%増の43億ペソで史上最高益となった。
 
 当地第2位の通信企業グローブ・テレコムの最終純利益は同1%増の98億ペソへと増益に転じた(前年は22%減益)。そして、一時的損益や外為変動損益などを除いたコア純利益は同11%増の100億ペソとなった。2011年末の携帯通信加入総数(SIMベース)は3,004万人で、前年末の2647万人から357万人、率にして13%増加した(アヤラランド、BPI、グローブ・テレコムの決算詳細は既にレポート済み)。

 一方、エレクトロニクス企業IMIの売上高は同40%増ながら、人件費や原材料費上昇により純利益は前年同期比71%減の129万ドルへと急減、株主帰属純利益も同30%減少した。数少ない不振部門の一つであった。

<非上場企業の動向>
 一方、リベルト・インベストメントなどが展開するBPO(業務外務委託)事業の収入は前年比16%増の10億ドルに達し、利払い・償却・税金前利益(EBITDA)が63%増の2500万ドルへと急増した。初期投資負担のため、最終純利益は赤字であるが赤字幅は急減した。

<新規事業>
 発電・インフラ事業を新しい収益源と位置付けている。発電事業では、再生可能エネルギーを中心に事業を拡大させ、今後5年以内に発電能力1,000MWの体制を構築する方針。2011年には70億ペソの投資計画を発表した。インフラ事業では、官民連携(PPP)プロジェクトに照準を合わせている。アキノ政権下でのPPP事業第1号である南ルソン高速道路とカビテ州ダンハリ接続道路プロジェクトを獲得している。

<投資予定など>
 アヤラコープは、高水準の投資を継続する方針であり、2012年の設備投資予定額は史上最高の910億ペソである。主に、不動産開発、通信ネットワーク拡充、水道事業の投資などに充当される。一方。2011年12月末の現金と準現金保有残高は約536億ペソと豊富である。負債残高対自己資本比率は0.24、自己資本利益率(ROE)は9%と良好である(12年3月9日のフィリピン証券取引所回覧1904-2012号などより)。