中央銀行、0.25%の追加利下げ

2012/03/01

翌日物金利、史上最低に並ぶ
借入金利4%、貸出金利6%に

 中央銀行(BSP)金融委員会は、3月1日に開催された今年2回目の定例会議(年10回開催)において、政策金利である翌日物金利0.25%の引き下げを決定、即日実施した。 
 


 この引き下げにより、翌日物借入金利は4.00%、翌日物貸出金利は6.00%となった。前回(1月19日)の定例会議においても、0.25%引き下げられており2回連続の利下げとなった。そして、翌日物借入金利は史上最低水準に並んだ。

 今回の金融委員会の追加利下げ決定は、インフレ期待が抑制されており、当面のインフレ率が目標圏内に留まるであろうという評価に基づいている。最新予想によると、2012年、2013年のインフレ率は引き続き、インフレ目標4%±1%(3%~5%)の下半分圏内(4%以下)に落ち着く見通しである。

 インフレ上昇リスクとしては、最近の原油価格急反騰が挙げられる。しかし、金融委員会は、「中東における政治的な一時的要因に因るものである。その影響は、緩慢な世界需要の伸びなどによって限定的なものになるだろう」と判断している。
 しかし、フィリピンへの外資流入急増などという他のインフレ上昇リスクもあることから、BSPは引き続き、インフレ抑制のために物価や需要動向を注視していく。それと同時に、景気の安定的な拡大にも配慮していく方針である。

 既報の通り、マクロ経済目標を決定する開発予算調整委員会(DBCC)は、2012年~14年の3年間の各年のインフレ目標に関して、現行の目標値4%±1%(3%~5%)を継続することを決定した。

 インフレ目標枠組みに関して、DBCCやBSP金融政策委員会は2010年7月に、変動制(年間インフレ目標)から3年間の固定制(中期インフレ目標)に変更する(2012年から)ことや、2012年~14年の各年のインフレ率目標を4%±1%(3%~5%)に固定することを決定した。
 
 この3年間のインフレ目標が決定された2010年7月時点のインフレ率算定基準年度は2000年であったが、2011年6月分発表から、基準年が2006年へと変更(2006年=100)された。このインフレ基準年変更に伴うインフレ目標の変更の必要性が討議されていたが、このほど変更の必要なしとの結論に達し、既存目標が継続されることになった。

フィリピンのインフレ率目標と実績の推移(実績は2000年基準値)
  2008年 2009年 2010年 2011年 2012~14年
インフレ目標 3.0~5.0% 2.5~4.5% 3.5~5.5% 3.0~5.0% 3.0~5.0%
インフレ率実績(2000年基準) 9.3% 3.2% 3.8% 4.4%
(出所:フィリピン中央銀行資料などから作成)