東芝のHDD事業、フィリピンなどへ生産集約
2012/02/29
タイ東芝ストレージデバイス社売却、効率化推進へ
コスト低減と品揃え拡大でストレージ首位目指す
東芝は、2月29日に、「米国ウェスタンデジタル社(WD社)と、WD社の3.5型HDDの製造設備等の取得と、東芝のタイ製造拠点の売却などに関する契約を締結した。今後関係当局の認可を経て、今年3月下旬までに資産取引完了を目指す」と発表した。
この契約により東芝は、3.5型HDDに関し、WD社が所有するデスクトップPC向け、コンシューマ製品(DVDレコーダやセットトップボックスなどの映像保存用HDD)向けの一部の製造設備および知的財産と、ニアライン(アクセス頻度は比較的少ないが大容量のデータを記録するストレージ)向けの一部の製造設備を取得する。
一方、東芝のHDD製造拠点のひとつである東芝ストレージデバイス・タイ社(TSDT)の全株式をWD社に譲渡する。なお、これらの資産取引は、WD社が従来から進めている「日立グローバル・ストレージ・テクノロジーズ」の株式取得完了および関係当局の認可が前提となる。
東芝は、WD社の3.5型HDD事業の一部の資産を譲り受けることにより、既存のHDD製品ラインナップにデスクトップPCやDVDレコーダなどのコンシューマ製品向け3.5型HDDを加えることで、HDD全分野の製品を提供することが可能となる。また、今後サーバ市場の拡大に伴い、市場規模が拡大すると見込まれるニアライン向けの供給能力を増やし、ストレージ事業のさらなる強化を図る。
一方、WD社へのTSDT株式売却により、東芝のフィリピンの製造拠点と中国の生産委託先に生産を集約することで、効率的な生産体制を構築し、コスト競争力を一層強化する。
ストレージプロダクツ市場は、PC、タブレット端末、スマートフォン等アプリケーションの多様化や、クラウド化の進展による情報量の爆発的な増大により、継続的な拡大が見込まれている。
東芝は、従来特化してきたモバイル市場向け小型HDDに加え、2009年に富士通のHDD事業を買収し、サーバ市場向けHDDにも事業分野を拡大した。また昨年7月には、社内カンパニーである「セミコンダクター社」と「ストレージプロダクツ社」を統合し、NAND型フラッシュメモリ、SSD、HDDを一社で併せ持つ、総合ストレージ事業を推進してきた。
今回の取り組みを通し、東芝はストレージ事業の拡大を加速し、同業界におけるリーディングカンパニーを目指す(12年2月29日の株式会社東芝ニュースリリースなどより)。