横浜ゴム、フィリピンなどに1,400億円投資
2012/02/14
タイヤ増産に3年間で、インド等に新拠点検討
横浜ゴム(株)は中期経営計画「グランドデザイン100(GD100)」の第3ステップとして、今年1月からフェーズⅢをスタートさせた。
「GD100」は、創業100周年に当たる2017年度に「企業価値・市場地位において、独自の存在感を持つグローバルカンパニー」になることを目指して2006年度からスタートした経営計画。3年度ごとに4つのフェーズに区分し、各フェーズで基本方針、事業戦略、財務目標を決定して目標達成に取り組んでいる。
フェーズⅢは2012年度から3年間の経営計画で、3年間累計で売上高1兆8,000億円、営業利益1,500億円、営業利益率8.3%を目標に掲げた。3年後の2014年度は売上高6,300億円、営業利益600億円、営業利益率9.5%をめざす。なお、「GD100」は当初、2017年度に売上高1兆円、営業利益1,000億円、営業利益率10%を目標としていたが、外部環境の悪化を受けて売上高1兆円の達成は2019年から2020年の間となる見込み。営業利益は当初目標どおり2017年度、営業利益率は前倒しで達成する計画。
成長の牽引役となるタイヤ事業では、グローバル市場における独自の存在感の確立、大規模な生産能力の増強、高付加価値商品のグローバル展開を進める。
<タイヤの成長戦略>
①グローバル市場における独自の存在感の確立
日本においては技術力と商品開発力を高めて競争力をアップし、海外においては需要拡大に対応した供給能力の拡充に取り組む。消費財(乗用車用タイヤなど)として、燃費ナンバーワンタイヤや高機能タイヤを投入。生産財(トラック・バス用タイヤなど)は、独自技術により差別化を図った商品と一貫したサポート体制を構築する。また、地産地消をめざした地域事業体制の確立、グローバルなサプライチェーン・マネジメントの改善、現地開発体制の強化を図る。
②大規模な生産能力の増強
ロシア、中国、フィリピン、タイを中心に3年間で年産約700万本の増産を行う。これにより、年間生産能力を2011年度末の5,900万本から2014年度には6,600万本まで高める。また、フェーズⅢの期間に総額1,400億円の新規増産投資を実施し、年産2,000万本強の生産能力拡充を行う。これにより、2017年度までに年間生産能力を8,600万本まで拡大する。新設工場は中国、インド、北米、中南米を検討している。また、フィリピン、タイ、ベトナム、ロシアの既存工場の拡充も検討する。
③高付加価値商品のグローバル展開
消費財としてフラッグシップブランド「ADVAN(アドバン)」、低燃費タイヤブランド「BluEarth」、ウインタータイヤ「iceGUARD(アイスガード)」、SUV用タイヤ「GEOLANDAR(ジオランダー)」を展開する。一方、生産財は49インチ超の建設車両(OR)用大型ラジアルタイヤ、超偏平のトラック・バス用タイヤなど高機能商品の拡大とリトレッドタイヤの取り組みを強化する。
なお、フィリピンの拠点は100%子会社であるヨコハマタイヤ・フィリピン(YTPI)である。YTPIは上記の中期計画に沿って、YTPI第4期拡張計画に着手している。同計画は第1次と第2次の2段階方式で行われている。
まず、第1次拡張として、生産能力を現在の年間700万本から1,000万本に引き上げる。そのため、既存のタイヤ工場隣接地の借用契約を結び新タイヤ工場の建設をスタート(2011年5月23日にくわ入れ式実施)、2013年から第1次拡張の操業を開始し、2014年からフル生産に入る。第1次の投資額は200億円の予定である。
第2次拡張として2014年までに年間1,300万本に引き上げるための投資を実施し、2017年をめどに、同1,700万本体制(現行の2.4倍)まで生産能力の引き上げを計画している。総投資額は累計500億円の見込みである(12年2月14日の横浜ゴム株式会社ニュースリリースなどより)。