日本、フィリピンと特許審査ハイウェイ開始

2012/02/09

日系企業の特許取得の早期化や権利保護強化へ
アセアンではシンガポールに次いで2カ国目

 2月9日、日本特許庁とフィリピン知的財産庁との間で開催された長官会合において、両庁は特許審査ハイウェイ(PPH)の試行を2012年3月12日から開始することに合意した。

 

 PPHとは、ある国で特許権を取得することが可能と判断された出願について、出願人の申請により、別の国で簡易な手続で審査を早期に受けられるようにする制度である。

 今回の合意により、日本がPPHを締結した国・機関は20となり、アセアンではシンガポールに次いで2ヶ国目となった。このPPHを利用することで、特許の早期審査制度を有しないフィリピンにおいて、日本企業の技術を迅速かつ質の高い特許権で保護できるようになり、日本企業の事業展開の円滑化につながる。

 経済のグローバル化に伴い、同一内容の発明を複数国で権利化する傾向が強まっている。この結果、世界的に特許出願件数が増加し、審査期間が長期化している。このため、日本特許庁は、PPHを推進し、出願人の海外における特許権取得の早期化や質の高い権利保護、審査負担の軽減に取り組んでいる。

 アセアン各国は近年著しい経済成長を遂げており、さらに、2015年には域内の経済活動の自由化を目的とした共同体の構築を目標としており、その実現のために知財権の保護強化を重視しているところである。2月8日に開催された第1回日アセアン特許庁長官会合では、アセアンが今後経済成長を遂げていくために知的財産保護の強化が必要であること、そのために日本が協力していくことを確認し、「東京知財声明」を採択した。

 <フィリピン知的財産庁とのPPH試行プログラムについて>
 日比間PPHは、日本特許庁またはフィリピン知的財産庁で特許可能と判断された出願、及び、日本特許庁が、国際調査機関・国際予備審査機関として、特許性を有するとの見解を示した国際特許出願(PCT出願)を対象とするものである。
 今後、日本の出願人が早期審査制度を有しないフィリピンにおいて、日本の審査結果に基づいて、特許を的確、迅速に取得できるようになる。そして、フィリピンにおいて日本企業の技術を迅速かつ質の高い特許権で保護できるようになり、日本企業の事業展開の円滑化を実現することにつながる。

 日本特許庁は今後とも、他のアセアン各国等の新興国も含めたPPHの対象国拡大や申請手続の共通化・簡素化に努め、出願人の海外における迅速で安定的な権利取得を支援するとともに、各国特許庁の審査結果の活用による審査の質の向上や審査負担の軽減をはかっていく方針である(12年2月9日の日本特許庁ニュースリリースより)。