預金準備制度を変更、簡素化と無利子化

2012/02/04

準備率3%引下げで金融機関の負担増を相殺

中央銀行(BSP)金融委員会は2月2日に、各金融機関に課す預金準備の制度変更などを承認した。

 



 具体的な変更点は、1.法定準備と流動性準備の二本立てとなっている現在の預金準備を統合し、単一の預金準備へと簡素化すること、2.預金準備の無利子化(現在は金利が支払われている)などである。また、無利子化にともなう各金融機関のコスト増(金利収入が消滅)を相殺するために、準備率を3%引き下げ18%とすることも決定された。この変更は、今年4月6日から実施される。

 預金準備制度変更の目的は、簡素化による手続きの効率化、モニターを行いやすくすることなどであり、ひいては、金融政策の機動性向上、迅速化につながると期待される。

 なお、現行の法定準備率は10%、流動性準備率は11%、合計21%となっている。各紙報道によると、現在、法定準備総額の40%に対し年4%の金利が支払われている。また、流動性準備に対しては、市中金利に近い水準(該当国債金利マイナス0.5%)が支払われている。フィリピンは、預金準備に対し金利が支払われる数少ない国の一つでもあるとのことである。
 
 この、預金準備無利子化は、各金融機関にとって、無利子での中央銀行預け入れが強制されることになり、金利を受け取れる現行制度に比べ負担が重たくなる。そこで、中央銀行は預金準備率を現行の合計21%から18%(一本化された預金準備率)へと3%引き下げることで、各金融機関の負担増を相殺することを決定した。

 中央銀行は「預金準備率引き下げにより、制度変更による各金融機関への影響は中立的なものになる」と強調した。