マニラ首都圏一日の最低賃金、ASEAN3番目

2012/01/24

8.83~9.67ドル相当でタイの7ドルを上回る高さ
労働力豊富で実際の月額賃金は割安との見解も 

現在のフィリピン・マニラ首都圏の1日当たり最低賃金は389~426ペソ(うち生活手当=COLAが22ペソ)となっている。

 フィリピン賃金生産委員会によるアジア各国賃金比較(11年12月29日現在)によると、現行のマニラ首都圏の一日当り最低賃金389~426ペソを、米ドル換算すると8.83~9.67米ドルとなる。

 マニラ首都圏の8.83~9.67米ドルは、バンコクの7米ドル(上限、以下同様)、ジャカルタの4.94米ドル、北京の6.91米ドル、カンボジアの2.03米ドル、ベトナムの3.16米ドルなどを大幅に上回っている。東南アジア諸国で、マニラを上回っているのはシンガポールの 61.67米ドル、マレーシアの16.66米ドルのみ。マレーシアの上限はマニラ首都圏より高いが、下限の5.28米ドルはマニラ首都圏より低い。

 これまでも指摘されているように、周辺国と比較するとてフィリピンの最低賃金の高さ(単純比較で東南アジア3位)が目立つ。特に、経済発展度でフィリピンをかなり凌いでいるタイよりも高いことが問題視されている。

 しかし、公定最低賃金の単純比較ではフィリピンが非常に高くなっているが、実際の雇用という面からは、フィリピンの賃金はさほど高くないとの見方も多い。

 フィリピン日本人商工会議所の西澤正純事務局長によると、「フィリピンの最低賃金は他のASEAN各国と比べて高いが、他のASEAN各国に進出した企業が最低賃金で雇えているかと言うと必ずしもそうではない。タイやベトナムは、労働力の需給がひっ迫しており、実際の支払い賃金が上昇するなど労働者の確保が難しくなっている。これに対して、フィリピンの一般労働者は、最低賃金で確保することができることから、他のASEAN各国と月額賃金を比べてみても割安である」と指摘している(フィリピン賃金・生産委員会資料などより)。

マニラ首都圏の一日最低賃金体系変更(単位ペソ)

旧最低賃金 現行最低賃金(11年5月26日から)
全て基本賃金 基本賃金 生活手当 合計最低賃金

非農業セクター一般

404 404 22 426

農業セクター

367 367 22 389

ベッド数100以下の民間病院

367 367 22 389

雇用15名以下のサービス業

367 367 22 389

常雇用10名人以下の製造業

367 367 22 389
(出所:フィリピン賃金生産委員会資料より作成)

フィリピン賃金生産委員会によるアジア各国賃金比較(2011年12月29日現在、ペソ対米ドルレートは44.0367ペソ)

国家・都市(通貨)

一日当り最低賃金

現地通貨建て

米ドル換算

ベトナム (ドン)

46,667-66,667

2.21-3.16

カンボジア(リエル)

8,267.25

2.03

中国・北京 (人民元 )

23.67-44.40

3.72-6.91

インドネシア・ジャカルタ(ルピア)

24,400-45,000

2.68-4.94

タイ・バンコク(バーツ)

159-221

5.03-7.00

マレーシア (リンギット)

16.73-52.83

5.28-16.66

台湾(台湾ドル)

596

19.56

シンガポール (シン・ドル)

26.67-80.00

20.56-61.67

韓国 (ウォン)

34,560

29.85

日本(円)

5,160-6,696

66.31-86.05

フィリピン首都圏(ペソ)

389-426

8.83-9.67

(出所:フィリピン賃金生産委員会資料より作成)