大統領、丸紅のフィリピン電力合弁企業を称賛

2012/01/22

チーム・エナジー社の電化推進への貢献に謝意
太陽光での辺境地未電化解消に評価と期待表明 

 アキノ大統領は1月20日に、丸紅と東京電力の合弁発電企業であるチーム・エナジーグループが推進する「代替エネルギー活用による家庭電化・生活向上支援(HEART&SOUL)プログラム」及び、エネルギー省の「家庭電化プロジェクト」の電化点灯式典に出席した。


 この式典の演説において、大統領は「フィリピン経済に対する国際的評価が高まっている。2012年のフィリピン経済は一段と向上すると確信している」とコメントするとともに、「本日の式典こそが、現政権の『一般国民が経済成長の恩恵を広く享受する」という目標を反映したものである。電化はその恩恵の一つであり、全ての国民が享受すべき基本事項である。チームエナジーはこの目標実現に向けて大きく貢献している」と強調した。

 そして、「チームエナジーの協力により、本日、新たな数千世帯に対する電化セレモニーを開催することが可能になった。チームエナジーのHEART&SOULプログラムのもとで、辺境地であるケソン州ポリーリョ群島の5つのバランガイ(最小行政区)が、世帯別太陽光発電導入により完全電化を達成、3,400戸の世帯が電化の恩恵に受けることになった。代替エネルギー活用でバランガイ全体が電化されたのは初めてのことである。チームエナジーは、2012年にも、同群島でさらに1,713世帯の電化を実現させる予定である」と説明、感謝の意を表明した。

 大統領はさらに、「このチームエナジーのプログラムは、化石燃料依存度軽減や環境保全、辺境地や貧困層支援に直結するものであり、企業の社会的責任遂行・貢献の典型例である。今後の電化推進にも貢献することになろう」と称賛した。

 なお、HEART&SOULプログラムにおける直接窓口は、社会的貢献機関「チーム・エナジー財団(TEFI)」である。チーム・エナジーは2001年7月25日にTEFIを設立した。TEFIでは、国家規模の問題を解決するために、フィリピン政府と協調しつつ自らの事業レベルで様々な活動・支援を行ってきているが、過去の代表的なプロジェクトの一つに、国家電化支援(プロジェクト・ビーコン)が挙げられる。これは民間企業が行っている最も大きな社会的発展プロジェクトの一つであり、実績として、1万8,000km以上の電線と6万本以上の電柱の敷設、1万軒の太陽光家庭発電が導入され、約30万世帯、100万人以上のフィリピン人に便益をもたらした。

 2007年末に全国のほとんどのバランガイの電化が完工したものの、そのバランガイのなかには、依然未電化地域・家庭が残された。そして、プロジェクト・ビーコンの後継プロジェクトとして、代替エネルギーなどを活用した辺境地区電化プロジェクトであるHEART&SOULプロジェクトが発足したのである。

 HEART&SOULプロジェクトは、フィリピン政府による2017年までに全世帯の90%電化実現という目標に沿ったものであり、引き続きTEFIが、フィリピン電化における重要な役割を果たす。

 フィリピンでは、前アロヨ政権下で全国電化ほぼ100%達成とされていた。しかし、上記の通り、電力が一部でも供給されたバランガイの比率は100%に近づいたが、そのバランガイの中でも未電化世帯が多く残されており、電化世帯比率は100%に程遠い。アキノ政権は電化世帯というベースでの90%電化を2017年に達成することを目指している。

 上記の世帯別太陽光発電は、電力送電網構築が困難な地域などでの電化実現の有力な手段として注目されている(12年1月20日のフィリピン政府官報などより)。