外人の金融市場への純投資額、昨年は11.5%減少

2012/01/12

 欧州問題等で後半急失速41億ドルに、12月は67%急減

 フィリピン中央銀行(BSP)は1月12日、2011年12月及び年間(1~12月)の海外からのポートフォリオ投資(証券投資等の間接投資)勘定(速報値)を発表した。

 海外からのポートフォリオ投資としてカウントされるのは、非居住者によるポートフォリオ投資動向であり、証券取引所(PSE)を通じてのフィリピン株式、ペソ建て債券、銀行でのペソ建て預金、マネーマーケット投資などが含まれる。



 2011年12月の海外からのポートフォリオ投資勘定の純流入額は前月比71.6%減、前年同月比67.4%減の1億3,953万米ドル。前年同月からの大幅な減少は、投資家が欧州債務危機、不安定な米国経済、朝鮮半島の動き、本国の政治情勢を懸念したことによる。

 12月の海外からの証券などの取得総額(グロス)は前月比19.3%減、前年同月比25.6%減の10億4,214万米ドル。そのうち、PSE上場株式・ペソ建て国債への投資は計10億米ドル。一方、12月の処分総額は前月比12.8%増、前年同月比7.3%減の9億0261万米ドルであった。

 2011年年間(1~12月)の海外からのポートフォリオ勘定純流入額は、前年比11.5%減の40億7,792万米ドルとなった。海外からの証券などの取得総額(グロス)は26.8%増の164億7,492万米ドル。そのうち92億米ドルがPSE上場株式取得。主な投資対象は、持ち株会社(21億米ドル)、銀行(15億米ドル)、通信サービス会社(14億米ドル)、不動産会社(13億米ドル)、食品・飲料・タバコメーカー(9億6,700万米ドル)など。そのほか、67億米ドルがペソ建て国債の取得、残りはペソ建て定期預金や金融商品購入など。対フィリピン投資国上位5カ国はシンガポール、英国、米国、ルクセンブルグ、香港で全体の87.2%を占めた。一方、処分総額は47.8%増の123億9,701万米ドルだった。

 なお、先に発表された2011年年初10カ月間の累計外人直接投資(FDI)純流入額は、前年同期比24.7%減の7億2,900万米ドルであった(12年1月12日のフィリピン中央銀行発表などより)。

    海外からのポートフォリオ投資(証券等の金融市場投資)勘定 <単位:百万米ドル>

期間 10年12月 11年11月 11年12月 前月比伸び率 前年同月比伸び率 10年 11年 伸び率
取得総額 1,402 1,291 1,042 -19.3% -25.6% 12,997 16,475 26.8%
処分総額 973 800 903 12.8% -7.3% 8,387 12,397 47.8%
純流入額 428 491 140 -71.6% -67.4% 4,610 4,078 -11.5%
      (出所:フィリピン中央銀行資料より 注:11年11、12月は速報値)