キリン48%出資のサンミゲルビール、浮動株式基準達成急ぐ

2011/12/29

  サンミゲル・ブリュワリー(サンミゲル・ビール=SMB)が、フィリピン証券取引所(PSE)の浮動株式比率基準(最低10%i)の速やかな達成へ向けて、どのような手段をとるかを検討している。 

 

サンミゲル・ビール(SMB)は、2008年にサンミゲルの国内ビール事業スピンオフで発足、PSEに上場した。昨年にはサンミゲルの海外ビール事業も取得している。さらに、洋酒事業を取得して総合酒類企業となる可能性もある。

 このSMB株式保有比率は、2011年9月末時点で、サンミゲル約51%、キリン・ホールディングス(キリン)約48.39%となっている。この大株主2社合計の保有比率は99.39%に達しており、浮動株式比率は僅か0.6%。この状況は、現時点でも変わっていないと見られる。

 PSEは以前は、浮動株式比率基準(最低10%)に対してはかなり寛容であったが、昨年ごろからこの基準を遵守するよう強く要求し始め、今年11月30日までの達成を指示した。

 このような状況下で、SMB大株主のキリンとサンミゲルは、SMBの浮動株式基準比率達成のための方策を討議している。

 現時点では具体的な方策は決定していない。第3者割当増資、大株主両社が保有株式を同数売り出し、あるいはサンミゲルのみが保有株式を売り出してキリンが筆頭株主になるなど様々な可能性が考えられる。SMBは12月28日に、「具体策が決定されれば、速やかに適正な情報公開を行う」と発表した。

 なお、キリンは、サンミゲル本体への出資というかたちでフィリピンに進出した。上記のように、当時はサンミゲル自身が国内ビール事業を行っていた。しかし、その後、国内ビール事業部門はSMBとして分社化、SMBは2008年5月12日にフィリピン証券取引所(PSE)に上場された。したがって、キリンは2009年前半に、保有していたサンミゲル株式6億2867万6,675株(発行済株式総数の約19.91%)を売却、そのかわりにSMB社株式約48.39%を取得したという経緯がある(11年12月28日のフィリピン証券取引所回覧8926-2011号より)。