10月末の商業銀行不良債権比率2.54%

2011/12/20

9カ月連続の2%台、貸倒引当率は119%に

  フィリピン中央銀行(BSP)は12月20日、2011年10月末の商業銀行(ユニバーサル・バンク=拡大商業銀行含む)の不良債権比率(速報値)を発表した。



 10月末の総融資残高に占める不良債権(元利回収遅延債権)比率(NPL比率)は2.54%で前月末(2.46%)から僅かに上昇した。しかし前年同月末(3.19%)からは改善、9カ月連続で3%以下となった。一方、不良債権(NPL)貸倒引当率は119.07%で前月末(123.70%)から低下したが、前年同月末(117.20%)からは上昇した。

 NPL比率2.54%は、近年での最低に近い水準である。アジア通貨危機発生直前の1996年末の2.80%を下回る低水準が定着した。また、ピーク時の2001年後半の18%台から大幅に低下している。

 2011年10月末の総資産に占める不良資産(NPA=元利回収遅延融資+担保権行使による取得不動産等)比率は3.03%で前月末(2.98%)から僅かに上昇したが、前年同月末(3.63%)からは改善した。また、不良資産(NPA)貸倒引当率は62.15%で前月末(62.68%)から僅かに低下したが、前年同月末(59.62%)からは上昇した(11年12月20日のフィリピン中央銀行発表より)。

商業銀行の不良債権・不良資産比率など(単位%)

 項目 10年10月 11年9月 11年10月
総融資に占める不良債権(NPL)比率 3.19 2.46 2.54
不良債権(NPL)貸倒引当比率 117.20 123.70 119.07
総融資残高貸倒引当比率 3.74 3.04 3.02
総資産に占める不良資産(NPA)比率 3.63 2.98 3.03
不良資産(NPA)貸倒引当比率 59.62 62.68 62.15
(注: 11年10月は速報値、10年10月、11年9月は改定値)

商業銀行の不良債権(元利回収遅延債権=NPL)比率などの推移(単位:百万ペソ、比率は%)
 年・月 総融資残高 NPL残高 貸倒引当残高 対総融資NPL比率 NPL貸倒引当比率 総融資残高貸倒引当比率
1996年末 1,221,763 34,206 15,149 2.80 44.29 1.24
2000年末 1,628,214 245,813 107,206 15.10 43.61 6.58
2001年末 1,625,052 281,908 127,412 17.35 45.20 7.84
2002年末 1,639,380 245,102 125,458 14.95 51.19 7.65
2003年末 1,747,151 245,508 130,013 14.05 52.96 7.44
2004年末 1,784,240 227,028 137,123 12.72 60.40 7.69
2005年末 1,872,743 153,675 119,076 8.21 77.49 6.36
2006年末 2,073,348 117,410 97,031 5.66 82.64 4.68
2007年末 2,194,780 97,634 91,123 4.45 93.33 4.15
2008年末 2,502,330 88,191 88,201 3.52 100.01 3.52
2009年末 2,724,870 80,912 90,898 2.97 112.34 3.34
2010年末 2,802,290 80,799 95,623 2.88 118.35 3.41
2011年 1月 2,706,530 81,382 95,597 3.01 117.47 3.53
2月 2,787,162 81,785 97,792 2.93 119,57 3.51
3月 2,759,608 82,410 99,197 2.99 120,37 3.59
4月 2,830,503 83,438 101,010 2.95 121.06 3.57
5月 2,929,032 81,911 101,002 2.80 123.31 3.45
6月 3,030,301 74,143 93,548 2.45 126.17 3.09
7月 2,979,544 73,049 92,218 2.45 126.24 3.10
8月 3,058,200 76,960 93,500 2.52 121.50 3.06
9月 3,020,720 74,330 91,940 2.46 123.70 3.04
10月 3,048,070 77,380 92,140 2.54 119.07 3.02
(出所:中央銀行資料より作成、9月は改定値、1996年は発表時数値)