19日は国際南南(途上国間)協力デー
2011/12/18
日本、古くから南南協力に積極取り組み
フィリピン、語学力や柔軟性発揮し大活躍
12月19日は「国際南南協力デー」である。1978年のこの日、国連総会で開発途上国間の技術協力を推進する枠組みをまとめたブエノスアイレス行動計画が承認されたことから、2004年12月の国連総会で制定された。
枠組み合意から30年余りたった現在、ある途上国が自国の開発経験を基に他の途上国を支援する南南協力は、各国・地域経済間の社会・文化的背景の類似性や、新興国をはじめとする中所得国の経済成長を主たる背景に、北の先進国から南の途上国に対する伝統的な援助を量的にも質的にも補完するアプローチとして高い注目を集めている。
11月29日から12月1日にかけて、先進国、新興国、途上国およびNGO等が一堂に会して開催された「第4回 援助効果向上に関するハイレベル・フォーラム(釜山ハイレベル・フォーラム)」では、南南協力は、途上国同士が対等な立場でお互いの知見を共有し、相互に学び合う、水平的なパートナーシップであるとし、そのような南南協力とそれを支援する三角協力のより一層の推進が合意された。
日本は、自国の経験から、南南協力支援を有効な協力手段として、最も積極的に取り組んでいる援助国の一つである。日本は戦後間もない1954年にコロンボ・プランに加盟したときから南南協力を実践してきた。さらに、日本が先進国となってからも途上国が相互の連携を深めながら、自立発展に向けて協力し合うことの意義を重視し、途上国間の南南協力、そして先進国、国際機関、途上国が連携して、他の途上国の開発を支援する三角協力を実施してきている。
2003年に閣議決定された新ODA大綱においても、日本は「アジアなどにおけるより開発の進んだ途上国と連携して、南南協力を積極的に推進する」と明示されている。 JICAは、このような政府の方針を受け、JICA第2期中期計画(2007年~2012年度)において、「開発途上国支援における南南協力の意義と有効性に留意し、南南協力支援事業の効果的な実施を図る」という方針を定め、南南協力支援に積極的に取り組んでいる。
なお、語学力に優れ柔軟性に富むフィリピンは、JICAの後押しする南南協力において、援助する側として、重要な役割を果たしている。すなわち、日本のフィリピンに対する技術協力の成果が、フィリピン国内も見ならず周辺国、さらにはアフリカにまで波及し始めている。
例えば、フィリピンにおいて、「アフリカ稲作農業普及研修」(2011年から4年間予定)が開始されている。アフリカの農業普及員らが6月中旬から、初めて見るアジアの稲作現場で、フィリピン人専門家から指導を受けている。
この研修は、「アフリカ稲作振興のための共同体( CARD)」の一環として、国際協力機構(JICA)と、稲作研究の国際的権威である国際稲作研究所(IRRI、本部・フィリピン)が連携し、そこに、JICAが長年、技術協力を行ってきたフィリピン稲作研究所(フィルライス)が、技術普及の実践的な支援を行う形で加わり実現した。2015年までに150人のアフリカの稲作研究者、普及員に対する研修を実施する予定である。
このほか、カンボジアでの「農業資材(化学肥料及び農薬)品質管理能力向上計画」(2009年3月~2012年3月)でも、フィリピンが専門家(化学肥料分析、農薬分析、化学肥料と農薬の登録および認可に係る行政手続き、化学肥料および農薬 の品質基準採択、農薬規則)派遣、フィリピンにおける研修実施などで大きく貢献している。
また、Jブータンの「地方電化促進プロジェクト」においては、JICAフィリピン地方電化プロジェクトで「太陽光発電講師」に認定されたフィリピンエネルギー省(DOE)の職員述べ5名が「第三国専門家」としてブータンに派遣された。第三国専門家による太陽光発電研修はJICAにとって初めての試み、JICAブータンにとっても初めての第三国専門家受入れであったが、ブータン側にもそのコミュニケーション力が認められ、充実した研修を行うことができたという成果もあった。フィリピンからの第三国専門家は、語学力や専門知識のみならず、実際の現場で経験を積んでおり、現地と同様の問題を自ら解決してきているという強みも発揮された。
今後も、国際南南協力におけるフィリピンの重要性が一段と高まると考えられる(11年12月16日のJICA発表などより)。