首都圏10.4%で最悪、カラバルソンも9%と高水準
失業者の半数が若者、43%が大学進学・卒業者

当地では、労働統計は1月、4月、7月、10月と毎年4回発表されるが、今回2011年7月の労働雇用率、失業率等が算出された。なお、当地では10月は年末年始商戦に向けての一時的就業者増加効果で失業率が低下傾向となる。一方、4月は新卒者の労働市場参入により労働力人口が増加することで失業率が上昇しがちである。このように、季節的要因で失業率が季節毎に大きく変動することから、前年同月との比較でないとあまり意味をなさないことに留意する必要がある。
　

　｛2011年10月の労働統計｝
　国家統計局は12月15日、2011年10月の失業率(速報値：2000年国勢調査に基づいた人口予測を使って算出）が6.4%となり、前年同月の7.1%から0.7%ポイント改善したと発表した。

　2011年10月の15歳以上の人口（2000年国勢調査基準）6,216万5,000人のうち労働力人口は約4,120万人で、労働力参加率は66.3% 。就業者数は前年同月比5.6%増の3,854万5,000人、失業者数は5.5%減の264万4,000人。2011年10月の就業率は93.6%で前年同月の92.9%から0.7%ポイント上昇した。

　就業者3,854万5,000人のうち、農業部門が33.4%（前年同月33.6%）、サービス部門が52.1%（51.7%）、鉱工業部門が14.5%（14.7%）を占める。雇用源としてのサービス部門の重要性が高い。就業形態比率は、賃金労働者が54.9%（前年同月54.2%）、自営・事業主32.7%（34.0%）、無給家庭内労働者が12.4%（11.7%）であった。就業者全体に占めるフルタイム就業者及び週40時間以上の就業者の比率は61.8%で、前年同月の63.8%から2.0%ポイント低下した。

　就業者であっても十分な労働時間に満たず追加の仕事が必要などの不完全就業者数は前年同月比3.3%増の738万人。率で見ると19.1%で前年同月の19.6%から0.5%ポイント低下した。
　
　失業者数264万4,000人のうち、15歳～24歳の失業者数が49.5%を占めており若者の失業者数の多さが目立つ。次いで25歳～34歳が30.2%を占める。また学歴別では、大学進学・卒業者が42.8%、ハイスクール進学・卒業者が44.7%を占める。性別では男性62.6%、女性37.4%を占める。

　地域別で失業率が最も高いのはマニラ首都圏で10.4%。以下、カラバルソン（9.0%）、中央ルソン（8.3%）と続く。失業率が最も低かったのは、ミンダナオ・イスラム教徒自治区（2.3%）、次いでカガヤンバレー（2.8%）。不完全就業率が高いのはビコール（34.3%）、カラガ（25.2%）など。　　不完全就業率が最も低いのはミンダナオ・イスラム教徒自治区（9.9%）、次いでカガヤンバレー（13,.3%）(11年12月15日のフィリピン国家統計局発表より）。

　　　　　フィリピンの雇用･失業者動向（単位：千人）

		新基準の失業率など
		10年10月	11年10月
15歳以上人口		61,169	62,165
労働力参加率		64.2%	66.3%
就業者数		36,488	38,545
就業率		92.9%	93.6%
失業者数		2,799	2,644
失業率		7.1%	6.4%
不完全就業者数		7,141	7,380
不完全就業率		19.6%	19.1%

　　　

地域	労働力参加率	就業率	失業率	不完全就業率
マニラ首都圏	63.7	89.6	10.4	15.2
内陸自治区	70.3	95.2	4.8	18.5
1-イロコス	64.7	93.4	6.6	18.5
2-カガヤンバレー	69.9	97.2	2.8	13.3
3-中部ルソン	63.0	91.7	8.3	13.5
4A-カラバルソン	66.1	91.0	9.0	17.1
4B-ミマロパ	71.8	96.5	3.5	19.6
5-ビコール	67.2	94.7	5.3	35.9
6-西部ビサヤ	65.7	93.6	6.4	22.3
7-中部ビサヤ	68.6	93.9	6.1	21.4
8-東部ビサヤ	68.0	96.0	4.0	24.2
9-サンボアンガ半島	68.1	96.6	3.4	21.9
10-北部ミンダナオ	71.4	96.1	3.9	22.9
11-ダバオ地域	69.0	95.4	4.6	16.4
12-ソックサルジェン	67.5	96.3	3.7	17.5
カラガ	66.7	94.5	5.5	24.6
ミンダナオ・イスラム教徒自治区	57.1	97.7	2.3	9.9
フィリピン全体	66.3	93.6	6.4	19.1