国際通貨基金、フィリピンとの第4条定期協議終了

2011/12/13

 比成長率予想:今年3.7%、来年4.2%へ再下方修正

 国際通貨基金(IMF)フィリピン調査団は、12月12日まで、現地調査やフィリピンとの第4条協議を実施した。 IMFは、IMF協定第4条の規定に基づき、各国との協議を通常毎年行うこととなっている。訪問団が協議相手国を訪問し、経済・金融情報を収集するとともに、その国の経済状況及び政策について政府当局者等と協議する。本部に戻った後、調査団のメンバーは報告書を作成し、この報告書が理事会における議論の土台となる。


 フィリピンとの2011年第4条協議終了に際して、IMF調査団長は「フィリピンのファンダメンタルズは比較良好であるが、他の諸国と同様、世界的な景気鈍化や不安定さの影響を受けている。エレクトロニクス製品等の輸出不振やこれまでの政府歳出抑制の影響などにより成長率は鈍化している」と概括した。

 そして、フィリピン成長率予想を2011年3.7%、2012年4.2%へと再下方修正した。ちなみに、IMFの今年9月時点の予想は2011年が4.7%、2012年が4.9%、6月時点の予想は両年ともに5%であった。インフレ率に関しては、政府のインフレ目標(3~5%)圏内にとどまり、国際総合収支も黒字を維持すると予想している。
 
 今後の課題に関しては、「不安定な世界経済という複雑な環境下において、持続可能な成長ペースや成長の質を強化することである」と提言した。

 金融政策に関しては、「中銀の金融政策は、環境の変化にうまく対応している。2011年前半の引締めはインフレ抑制に効果を発揮し、その後の引締め見送り、金利据え置きは世界景気変調に合致したものである」と評価、「現時点では金融緩和の必要はない。世界経済の下振れリスクが強まったり景気後退などが起こりそうな場合に、原稿金融政策の見直しが必要になる」とコメントした。

 財政政策に関しては、「年央までの極端な歳出抑制方針を変更し、景気刺激のための歳出拡大の動きに出たことは歓迎されるであろう。ただし、中期的には財政規律向上、財政収支改善が必要である。特に、歳入拡大が絶対に不可欠である」と提言した。

 なお、アジア開発銀行(ADB)も12月6日に発表の「アジア経済モニター」(AEM)最新版(2011年冬版)において、フィリピン成長率を2011年3.7%、2012年4.8%へと下降修正している(11年12月12日の国際通貨基金プレスリリースより