エプソンのフィリピン新工場が完成

2011/12/08

8日に落成式、アキノ大統領が謝意表明
投資額90億円、2千名超の新規雇用へ

 セイコーエプソン(以下エプソン、本社:長野県諏訪市)のフィリピン生産拠点であるエプソンプレシジョン・フィリピン(EPPI)に、プロジェクターおよびインクジェットプリンターの新工場が完成、12月8日に、アキノ大統領を迎えての落成式が開催された。。新工場面積は約3万8.000平米、2000名以上の新規雇用につながる。


 アキノ大統領は主賓挨拶において、フィリピン政府の投資環境改善努力に呼応しするかのようにエプソンが対フィリピン追加投資を行ったことや2000名以上の雇用機会提供に対し深く感謝、日本語で「アリガトウゴザイマシタ」と謝意を表明した。そして、優秀なフィリピン人労働者がエプソンの一層の発展に貢献するであろうとの自信も表明した。

 なお、プロジェクターは、企業向けや教育向けの用途拡大、新興国への浸透などにより、今後も市場が拡大すると見込まれている。エプソンはコアデバイスである高温ポリシリコンTFTを内製している強みを生かしつつ、企業・教育向けラインアップの拡充や5,000ルーメン以上の高光束市場向けの取り組みを強化し、販売数量の拡大を目指している。
 一方、インクジェットプリンターも、ビジネス用途や新興国などでの市場拡大が見込まれており、エプソンは顧客の期待を上回る利便性を実現する商品ラインアップを拡充することで、販売数量の拡大を目指している。
 そのために、プロジェクター、インクジェットプリンターの生産体制を増強する必要があり、EPPIが保有している設備やインフラが活用できること、ノウハウを蓄積した優秀な人材が多いことなどから、フィリピンに新工場を建設するに至ったのである。

 EPPIは、既存工場に隣接する新工場においてプロジェクターの生産を新たに開始し、EPPIにおけるプロジェクターの生産体制は、2012年度までに年間約100万台に引き上げる予定である。
 また、インクジェットプリンターの生産体制は、既存工場も含め、2012年度までに現在の2倍となる年間約600万台に増強する予定である。なお、EPPIにおける2012年度までの総投資額は、約1億1千万米ドル(約90億円)となる。

 エプソンは、長期ビジョン「SE15」の中で、プリンター事業、プロジェクター事業を成長の核となる事業と位置づけ、常に顧客に最適な商品を提供することで、エプソンの成長軌道を確立することを目指している。このフィリピンにおける生産体制の増強は、長期ビジョン「SE15」を実現するための前提となる重要な位置づけとなる。

 1994年12月設立のEPPIは、エプソン100%出資子会社で、バタンガス州リパ市リマ・テクノロジーセンターに立地する。リパの既存工場敷地面積は13万平米、建物面積は3万6千平米。このほか、ラグナ州にも倉庫などを所有している。
積極的な社会貢献活動、環境保全活動展開企業としても知られている。

 一方、エプソンのフィリピンにおける販売・サービス拠点はエプソン・フィリピンズ(EPC)である。EPCは1998年に設立されたが、短期間で10億ペソ企業に成長、現在は77の公認サービスセンター、78のディーラー、500以上の取り扱い店を有するに至っている。2008年にはエプソンにおける東南アジア最大級のソリューション・センターを開設している。

 このように、エプソンのフィリピンにおける生産、販売双方での事業基盤が強化されるとともに、投資、雇用、納税額拡大等の貢献、及び社会貢献がそろって拡充しつつあるといえよう(11年12月8日のフィリピン政府官報などより