フィリピン汚職・腐敗、やや改善も依然激しいとの評価
2011/12/01
清潔度は183カ国中129位(昨年134位、一昨年139位)
80位のタイ、100位インドネシア、112位ベトナムの後塵
世界各国の汚職動向を監視している非政府組織(NGO)であるトランスペアレンシー・インターナショナルは、12月1日に、国・地域別汚職認識指数(Corruption Perceptions Index=CPI)やそのランキング2011年版を発表した。2011年調査対象となったのは183ヵ国・地域。
トランスペアレンシー・インターナショナル汚職認識指数は、ビジネス関係者、一般大衆及び各国のアナリストなどによって、公務員や政治家の間に汚職がどの程度存在すると認識されているかという点から各国をランク付けている。得点数(10点満点)や順位が高いほど汚職に対する清潔度が高く,得点数や順位が低いほど腐敗度が高いことを意味する。
2011年の清潔度トップはニュージーランド(9.5点)。以下、2位デンマークとフィンランド(9.4点)、第4位スエーデン(9.3点)、第5位シンガポール(9.2点)、第6位ノルウェー(9.0点)、第7位オランダ(8.9点)、第8位スイスと豪州(8.8点)、第10位カナダ(8.7点)となっている。
最下位は北朝鮮とソマリア(1.0点)、ワースト2の180位がミャンマーとアフガニスタン (1.5点)、177位がスーダン、ウズベキスタン、トルクメニスタン(1.6点)であった。
主要国では、日本が14位(8.0点)で昨年の17位から上昇。ドイツも14位(8.0点)、英国16位(7.8点)、米国が24位(7.1点)などとランクされている。経済成長の高さで注目されてきた中国は75位(3.6点)、インドは95位(3.1点)であった。 フィリピンの清潔度は129位(2.6点)で、昨年の134位(2.4点)、一昨年の139位(2.4点)から連続上昇となっている。しかし、依然、世界でも、アジアでも非常に低い評価である。4年前に既にインドネシアに抜かれているが、今年は100位となったインドネシア(3.0点)との差が一段と開き、112位のベトナム(2.9点)にも後塵を拝するままとなっている。東南アジアでは、154位のラオス(2.2点)、164位のカンボジア(2.1点)、180位のミャンマー(1.5点)を上回るだけである。
フィリピンの2年間で5ランクずつ、合計10ランクを評価する声もあるが、アキノ政権が強調している汚職撲滅努力はまだ十分に反映されない結果といえる。
上記以外のアジア主要各国・地域は、香港12位(8.4点)、台湾32位(6.1点)、韓国43位(5.4点)、ブルネイ44位(5.2点)、マレーシア60位(4.3点)、タイ80位(3.4点)、スリランカ86位(3.3点)、バングラデシュ120位(2.7点)、パキスタン134位(2.5点)、ネパール154位(2.2点))などとランクされている。
なお、トランスペアレンシー・インターナショナル汚職認識指数(TICIP)は、国によって調査基準や調査機関数が異なり正確なランキングとは言えないとの批判もあるが、広く公表されることで汚職防止に一定の役割を果たしていると評価されている(11年12月1日のトランスペアレンシー・インターナショナル発表より)。