三菱商事、フィリピンで省エネ事業
2011/11/24
アヤラランドと合弁で地域熱供給など
三菱商事は、フィリピンの省エネルギー事業会社であるフィリピン・インテグレィティッド・エナジー・ソリューションズ社(PhilEnergy)株式40%を取得し、フィリピンにて省エネルギー事業(地域熱供給事業やESCO事業)に参画する。
地域熱供給事業とは、1か所または数か所のプラントから、導管で結んだ複数の建物へ、冷暖房等に使用する冷水・温水・蒸気を送る事業。施設ごとに熱源設備(クーラー、ヒーター等)を保有して冷暖房を行うのではなく、地域内のプラントで集中的に熱源を生産するため、地域冷暖房とも呼ばれる。
また、ESCO事業はEnergy Service Companyの略。建物の設備更新、省エネ運転ノウハウ導入によりエネルギー効率を向上させるサービス事業である。主に空調熱源を中心とした設備の更新、運営・保守により電力使用量を削減し、同削減メリットを顧客とともにシェアする。
三菱商事が資本参加するPhilEnergyは、現時点では、フィリピン最大の不動産会社「アヤラランド」の100%子会社である。三菱商事は、11月23日に、アヤラランドとの間で、PhilEnergy株式40%を取得することで合意した。
フィリピンでは高い経済成長が維持されている反面、エネルギー関連インフラの整備が従来より課題であり、発電設備の増強が進められている一方、エネルギー使用量そのものを抑えるため、省エネルギー関連法案の制定も検討されている。
PhilEnergyは、省エネルギー事業の一環として、大規模な冷熱設備を自社保有し、導管を通じて複数の建物(オフィス・商業・ホテル等)に冷房等に使用する冷水・温水・蒸気を供給する事業を、マニラ首都圏(マカティ市)にて2012年3月より開始する計画である。同冷熱設備から一括供給することにより、複数建物がそれぞれ個別に小規模な設備を保有する場合と比べて、エネルギーの使用量が低減できるともに、建物オーナーの初期建設コスト(冷熱設備の設置コスト)を抑えることも可能となる。
三菱商事は、日本国内の関連事業で培った省エネルギー事業に関するノウハウを、PhilEnergyを通じて活用することにおいて、アヤラランドと連携し、エネルギー料金高騰のなかで成長が期待されるフィリピンの省エネルギー関連市場を取り込み、フィリピン国内の環境改善に貢献していく方針である。
2010年には、三菱商事の100%子会社ダイアモンド・ジェネレーティング・アジア(DGA、本店所在地:香港)が、アヤランドの親会社であるアヤラコープの100%子会社ACエナジー・ホールディングス(当時の社名はミシガン・パワー)と再生可能エネルギー合弁企業フィル・ニューエナジー社を設立することで合意した。フィル・ニューエナジー社は、フィリピンでの太陽光発電事業などの機会などを探っていくとも合意されている。
このように、三菱商事のフィリピンでの省エネルギーや代替エネルギー事業の基盤が整備されつつある。また、三菱商事は、社会の持続的発展への事業を通じた貢献を目指し、2010年7月に発表した中期経営計画において、地球環境事業を全社戦略分野と位置付け、現在、積極的に推進している(11年11月24日の三菱商事株式会社プレスリリースなどより)。