豊田通商、ミンダナオ新発電事業への参画交渉

2011/11/21

アルカンタラ系のアルソンズと、タイEGCOも
環境保全型の循環流動層火力発電所計画

 比日経済委員会委員長などを務めているトーマス・アルカンタラ氏率いるアルソンズ・コンソリデイティド・リソース(ACR)は、主力事業の一つである発電事業の拡充を推進中である。

 ACRの主な事業基盤はミンダナオである。供給不足問題が深刻化しつつあるミンダナオの電力事情改善のため、ACRはミンダナオでの発電所建設に注力する方針である。その一方、環境問題にも対応していく必要がある。

 ACRの発電事業の戦略の一つは、既存のディーゼル発電所を、循環流動層ボイラー(Circulation Fludized Bed Boiler=CFB)石炭火力発電所へと転換することである。CFBは炉の底部から燃焼空気をふき込むことで、高速で流動化した高温の燃料粒子を均一に混合し、効率よく燃焼させる省エネ型システムである。

 火炉内での燃焼温度は,一般的なボイラーが1,400~1,500℃であるのに対し,循環流動層ボイラーでは850~900℃と低いため,サーマル窒素酸化物(温度依存の発生窒素酸化物)の生成量を抑制できる。また、広範な燃料燃焼可能である。ACRはこのようなCFB発電所への転換・設置により、環境汚染軽減や発電能力・効率性の向上、低コスト化を目指す。

 具体的には、まず、ミンダナオ島サランガニ州マーシムに200メガワット(MW)のCFB石炭火力発電所を設置する。投資額は約2億8000万ドル(約120億ペソ)と見込まれる。
 
 ACRは、この200MWのCFB火力発電所建設計画に関して、豊田通商、タイのエレクトリック・ジェネレーティング社(EGCO)との間で提携交渉を行っている。豊田通商、EGCOともに、ACR既存事業における提携企業である。ACRはCFB石炭火力発電事業においても、両社に参画を呼び掛けている。

 ACRはこのほか、サンボアンガでの100MWのCFB石炭火力発電所建設など、複数の発電所建設を計画している。これらのプロジェクトfでも、提携方式がとられつつある(11年11月21日のフィリピン証券取引所回覧8140-2011号などより)。