サンミゲル、9カ月間で実質41%増益に

2011/11/13

売上高2.4倍、営業利益2.1倍の420億ペソ
キリン出資のサンミゲル・ビールも堅調

 多角化を推進中のサンミゲルが2011年9カ月(1月~9月)の決算速報を発表した。


 

 9カ月間の収入は前年同期比143%増(約2.4倍)の3934億ペソ、営業利益は同112%増(約2.1倍)の420億ペソ、金利・税金・償却前経常的利益(経常的EBITDA)は同87%増の567億ペソと各々大幅増加した。報告純利益は同6%減の119億ペソへと減少したが、一時的損益を除外した純利益は同41%増の116億ペソ、すなわち、実質41%増益決算であった。

 ビール部門がスピンオフして発足したサンミゲル・ビールの販売数量は前年同期比3%増の1億6,580万ケースと堅調な伸びを見せた。内訳は国内が2%増の1億3,480万ケース、海外が同5%増の3,090万ケースであった。この結果、売上高は同7%増の521億ペソ、営業利益は同9%増の147億ペソと堅調な決算となった。なお、9月末時点でのキリン・ホールディングスのサンミゲル・ビール保有比率は約48.39%で、サンミゲルの約51%に次ぐ大株主となっている。

 洋酒部門(ヒネブラ・サンミゲル)の販売数量は、前年5月の総選挙特需などの反動という特殊要因もあって、同34%減の1,920万ケースと大幅減少した。売上高は同31%減の115億ペソ、営業損益は5億3,200万ペソの赤字に転落(前年同期は11億8,900万ペソの黒字)と、唯一の不振部門となった。

 食品部門の売上高は同11%増の643億ペソ、営業利益は同2%増の43億ペソ。一方、パッケージ部門(サンミゲル山村パッケージング)の売上高は同4%増の177億ペソ、営業利益は同8%増の16億ペソと堅調。双方とも、原燃料費上昇という環境下において、コスト削減や効率化推進などで増収・営業増益となった。

 新規事業である電力関連事業の収入は同18%増の535億ペソ、営業利益は同94%増の110億ペソに達した。サンミゲルの発電事業は、2010年第3四半期から、持ち株会社SMCグローバル・パワー・ホールディングスのもとに集約されている。

 石油製品部門(国内最大の石油元売り企業であるペトロン)の売上高は同19%増の2,019億ペソ、営業利益は同47%増の131億ペソ、純利益は同42%増の76億ペソと二桁増収増益であった。輸出や高付価値の石油化学製品の売上高が増加したことなどが好決算につながった。

 発電事業やペトロンの収入が、サンミゲル全収入の65%を占めるなど、新規事業の業績寄与度が高まるとともに、従来事業のビールや食品なども堅調に推移していることで、全体で大幅増収・実質大幅増益となっている。

 この8月には、エッソ・モービルのマレーシア石油川下事業買収で合意、カティクランのボラカイ空港拡張工事受注、タ―ラック~ラ・ウニオン高速道路建設(第1期のタ―ラック~ジェロナ間は2012年第1四半期に完工予定)など、サンミゲルの新規事業拡大に拍車がかかっている(11年11月11日のフィリピン証券取引所回覧7950-2011号などより)。