矢崎総業、フィリピンで農業事業展開か
2011/11/08
ゲル被覆種子技術など活用、自給率向上支援
ワイヤーハーネスで世界のトップ企業となっている矢崎総業は、新事業基盤構築も推進している。そのなかで注目されるのが、ゲル被覆種子事業や食品リサイクル事業の有機肥料を使用した農作物の生産などのアグリビジネスである。
子会社であるアグリテクノ矢崎は、今年前半に農業事業部を立ち上げている。この農業事業部は、岡山県高梁市農業振興センター農業試験研究施設内に開設された。今後様々な作物の研究・栽培をおこない、販売まで含めた農業事業を行っていく方針。
矢崎総業グループのアグリビジネスで特に注目されるのはゲル被覆種子(商標名タネまる)。 ゲル被覆種子とは小さな種子を、水分たっぷりの天然高分子ゼリー(昆布より抽出)で包み込むことで、取扱しやすくすると同時に、種子の能力を最大限に発揮させることのできる、全く新しい種子のカタチであり以下のような特徴がある
1.驚異の発芽力
・水分98%含有により芽出しが簡単
・肥料封入することで成長促進可能(封入できない肥料もある)。
・透明ゲルで選択播種による発芽促進・均一効果。
2.省力化
・小さく不揃いな形状でも簡単播種。
・複数粒もまとめて封入、まとめて育成。
・播種機・播種板による作業時間短縮
3.経済性
・高価な種子もロスなく発芽。
11月8日付けフィリピン・スター紙ネット版によると、矢崎総業は、フィリピンでもゲル被覆種子技術などを活用したアグリビジネスを本格展開する方針。フィリピンの拠点の一つである矢崎トレスが担当するとのことである。
矢崎トレスは先ず、ゲル被覆種子事業を展開する。ゲル被覆種子は多くの農作物や花への対応が可能であり、収穫量向上に貢献するものと期待される。
そして、フィリピンでの有機大豆生産量の大幅拡大に貢献することを視野に入れている。現在、フィリピンは大豆の大半を輸入に依存しているが、中長期的に自給率100%超とすることを支援する意向。そして、需要のほとんどを輸入に依存している日本への供給基地とすることまでも視野に入れているとのことである。
なお、矢崎総業はフィリピンに7つの生産や開発拠点を有している。そのなかの中心的存在である矢崎トレス工業はラグナ州カランバに立地し、従業員数5600名超のワイヤーハーネス製造の拠点となっている。