不二越、フィリピン等をドリル生産・供給拠点に
2011/10/25
不二越(商標名NACHI)は、ハイス(特殊鋼)ドリルの生産体制を増強する。
フィリピンやシンガポールの工場を、新興国を中心に需要が拡大する標準ドリルの生産・供給拠点と位置づけ、生産能力を増強する。また、日本国内のドリル工場は、高精度・高能率ドリルの生産に特化し、国内や欧米、東アジアの顧客への供給体制を拡充する。1.ハイスドリルの需要動向
(1) 新興国市場で標準ドリルの需要が拡大
・中国やアセアンなど新興国市場では、自動車や一般産業機械、電機・電子分野をはじめとした鉱工業生産の拡がりを受けて、標準ストレートドリル、テーパドリルの需要が大きく伸びている。また、国内においては、ホームセンター向け標準ドリルの需要が拡大。
※標準ドリルの受注本数の伸び率(08年→11年):全世界で25%増(うち中国60%増、インドネシア45%増)
(2) 高精度・高能率ドリルの市場形成へ
・国内や欧米では、切削条件により、ハイスドリルと超硬ドリルの使い分けがすすむ一方で、コストパフォーマンスに優れ、超硬の領域をカバーする高速・高精度なCSドリルの需要が伸張。さらに、東アジア、アセアン諸国での採用が急ピッチですすんでいる(CSドリル:シリンドリカル・シャンクドリル、主にNC工作機械に搭載)
※CSドリルの受注本数の伸び率(08年→11年):全世界で2倍へ (うち国内2.5倍、海外70%増)
・標準ドリル、CSドリルとも、自動車や二輪、一般産業機械、電機・電子分野における機械加工に欠かせない工具であり、今後も国内外で一段の需要拡大が見込まれる。
2.国内外で生産体制を拡充
(1) 不二越のスタンス
・ハイスドリルの世界トップメーカーであることを認識し、中長期的に国内外で圧倒的な生産体制を構築していく。今回第1ステップとして、2012年(中期計画の最終年度)までの世界需要を想定し、フィリピン、シンガポール、日本国内の既存工場において、生産設備の増強を行なう。
(2) 設備投資の概要
①フィリピン・シンガポール工場に生産ラインを増設する
②国内ラウンドツール工場の生産能力を拡充する
①ト②合計で設備投資金額は約10億円。全世界でハイスドリルの生産本数を約30%超拡大 (2012年2月~)
※ドリルの世界生産本数:2011年3,000千本 → 2012年4,000千本/月体制へ。
なお、なお、不二越のフィリピンでの生産拠点は、100%子会社ナチ・ピリピナス・インダストリーズで、首都圏タギグ市サンタ・マリア・インダストリアル・エステート・マナラックコンパウンドに立地している。事業内容は、金属加工、ドリルの材料製作、工事再研削サービス、窒素処理サービス等とされている(11年10月24日の株式会社不二越発表などより)