住友鉱、ミンダナオ襲撃現場の被害調査開始へ

2011/10/04

 フィリピン共産党が犯行声明、環境協議を要求とも

住友金属鉱山(住友鉱)は10月4日に、フィリピンでの武装勢力の襲撃について、続報(第3報)を発表した。

 

 10月3日に、住友鉱がニッケル製錬中間品(ニッケル・コバルト混合硫化物)のプラントを建設中のフィリピンのミンダナオ島北東部北スリガオ州クラべ―ル町タガニート地区にて、武装勢力がタガニート・マイニング・コーポレーション(TMC)を襲い一時占拠した後、逃走との事件が発生した。
 TMCは、住友鉱のミンダナオでのニッケル事業の推進母体である「タガニート・エイチパル・ニッケル・コーポレーション(THPAL社、住友鉱出資比率62.5%)」に燐接した地域にあり、将来THPAL社はTMCより原料であるニッケル鉱石を購入することになっている。

 住友鉱第3報によると、 10月3日21時半頃(日本時間・以下同じ)、フィリピン警察および国軍約70名が現地入りし、タガニート鉱山敷地内やプラント建設各社宿舎の分駐警備に入ったので、集合していたプラント建設に従事している日本人勤務者は各社の宿舎に移動した。
 また、4日午前9時時点で、前日に無事が確認されていた日本人(計65名)以外のプラント建設従事者および周辺住民にも死傷者が出ていないことが確認された。

 また、タガニート・エイチパル・ニッケル・コーポレーション(THPAL社)は、プラントサイト・周辺地域への立ち入り環境が整ったため、建設現場の被害状況の調査を開始する予定である(11年10月4日の住友金属鉱山株式会社ニュースリリースなどより)。

 各紙報道によると、フィリピン共産党は4日に、上記の襲撃事件に関して、同党軍事組織の新人民軍(NPA)の犯行と認めた上で、タガニート地区でのニッケル事業が薬品や重金属による環境破壊や労働者の搾取を行っていると主張。金銭要求が目的ではなく、環境破壊への警告とともに、日本人の事業責任者との協議を要求しているとのことである。
 なお、襲撃事件の発生した地域はNPAの活動が活発であり、通信企業の中継基地などもたびたび襲撃されている。そして、「革命税」の名目で金銭を要求されるとも報道されたことがある。