日本郵船、フィリピン人船員を上級職員へ積極登用
2011/09/24
フィリピンで船員育成から船舶管理まで一貫体制構築
日本郵船がフィリピンにおけるビジネスパートナーのトランスナショナル・ダイバーシファイド・グループ(TDG)と共同運営する商船大学NYK-TDGマリタイム・アカデミー(NTMA)のキャンパスで9月16日、NTMAの施設拡張や隣接地に新築する船員研修施設の地鎮祭が行われた。
いずれも2013年完工の予定で、これにより日本郵船はこれまで注力してきたフィリピン人の幹部船員の育成を、更に拡大・発展させていく。
日本郵船は、2007年に他社に先駆けてTDGと共同でフィリピンにNTMAを設立し、良質の船員の確保・育成に注力してきた。今年3月31日に発表した新中期経営計画「More Than Shipping 2013」においても、NTMAを中心に、安全運航のコアとなる優秀な船員を育成し、その技術力をもって日本郵船サービスの差別化を図る戦略を打ち出している。
今年は、4年間のカリキュラムを終えたNTMAの第一期生が卒業を迎えあた記念すべき年であり、これを契機に、フィリピン人船員をNYKの幹部船員の核に据えるべく、ハイリスク船(大型コンテナ船、VLCC、LNG船など)を含む各種船種において、フィリピン人船員の上級職員への積極的、戦略的登用を加速していく。
また、日本郵船は独自の技術力を発揮するため、運航船に占める郵船グループ内での船舶管理、船員配乗の比率を高める方針で、日本郵船のフィリピン人船員の「質」と「量」の一層のレベルアップに向け、現地で以下の4つの分野について拡充・強化を図る。
<船員育成(NTMA)>
l 将来的な受け入れ学生の増員(年間120人から180人へ)に備えた施設の拡張
l 育成プログラムや講師陣の充実
l 研修機器の新規導入
l 練習船の充実
<船員配乗>
l 現配乗会社オフィスの拡張とリフォーム
l 船員管理やリクルートの強化のため配乗スタッフを充実
<船員研修>
l 現研修施設の引越し(※)、拡張
l 研修内容の高度化を目的とした講師陣の充実
l 研修内容の高度化を目的とした研修機器の新規導入
※現在のマニラ市内から郊外のカンルーバン市内にあるNTMAの隣へ移設する予定。これにより、既に海技資格を有する船員の研修内容と、船員育成における教育内容の一貫性、相関性が一段と高まることが期待される。
<船舶管理>
l エヌワイケイ・シップマネジメント社(シンガポール)のフィリピン支店を設立
【エヌワイケイ・シップマネジメント社 フィリピン支店の概要】
時期:2011年度下期を目標とする(2013年度にはTDGとの合弁事業化を目指す)
規模:日本郵船の管理船規模は約10隻(2013年度には扱い隻数50隻、将来的には100隻まで拡大を目指す)
対象船:ドライバルカー(将来的にはコンテナ船、自動車船、タンカーの可能性も検討)
エヌワイケイ・シップマネジメント社は在シンガポールの日本郵船100%子会社。日本郵船グループ運航船の船舶管理、船員配乗を行う。管理船の規模は約130隻で、日本郵船グループの船舶管理体制の核となる会社。
そのフィリピン支店を設立することで、船員の「育成」、「配乗」、「研修」から船舶の「管理」までを、フィリピン国内で一貫して行うことにより、それぞれの担い手相互の円滑なコミュニケーション、機動的なフィードバックを促し、安全運航をより確実なものとする体制を構築していく。
フィリピンにおける船舶管理業務を開始することにより、「Superintendent(船舶管理の監督)」という新たな陸上のポストがフィリピンに創設され、管理船の増加に伴って、将来的には数十人の職域が生まれるが、これはフィリピン人船員にとって、日本郵船グループ内で海技者としてのあらゆるキャリアを積むことができる環境が整うことを意味する(11年9月22日の日本郵船株式会社ニュースリリースより)。
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