日本郵船のフィリピン商船大学、第一期生116人が卒業
2011/09/21
日本郵船は9月16日、フィリピンにおけるビジネスパートナーのトランスナショナル・ダイバーシファイド・グループ(TDG)と共同運営する商船大学(NYK-TDG マリタイム アカデミー)のキャンパスで、同大学の第一期生116人の卒業式典を執り行った。
卒業生は、大学における3年間の座学と実技演習を修了した後、日本郵船の運航船での約1年間の乗船実習を無事終え、同式典に臨んだ。式典には、卜部敏直在フィリピン日本国大使やフィリピン労働雇用省のロサリンダ・バルドス長官などを来賓に迎え、日本郵船の工藤泰三社長、TDGのロベルトC.デルガド会長ら多数が出席した。
工藤社長は祝辞の中で、「本日の卒業式は、広く海運業界、そしてフィリピンにとって、重要なマイルストーンになるであろう。これから身を置く海運業界は、世界経済の成長に寄与する重要な役割を担うとともに、自然環境の保護においても重要な責任を有しているが、環境を破壊するような事故の防止や環境に優しい技術の実践には船員の資質が問われる。高い資質を備えた当社船員の中核として、最先端の海事技術を身に付け、当社サービスの競争力を高めると同時に、母国の次の世代に道を開いてほしい」と、卒業生を激励した。
第一期生は、フィリピン国内にある商船教育機関の学生を対象に行われる統一テストでトップクラスの成績を収め、現在行われている海技資格試験でも順調に合格して海技免状を取得している。免状取得後は、三等航海士・三等機関士として、日本郵船グループの運航船に配乗されることになる。
また、卒業式典当日の朝には、工藤社長、デルガド会長立会いの下、現在計画中のNYK-TDG マリタイム アカデミーの施設拡張や、それに隣接する日本郵船の新たな船員研修施設の建築が、無事実現することを祈る地鎮祭を行った。新施設の完工は2013年を予定しており、これによって、日本郵船はこれまで注力してきたフィリピン人の幹部船員の育成を、さらに拡大・発展させていく方針である。
NYK-TDGマリタイムアカデミーは2007年6月に、日本郵船の創業120周年記念事業の一環として、マニラ近郊カンルーバン市開校された。このマリタイムアカデミーは「フィリピン高等教育庁」の認可を取得した正式な大学であり、3年間の講習と1年間の乗船実習の全寮制の4年制商船大学である。 一学年の定員は、航海科と機関科、夫々60名の計120名、講師は約30人(非常勤含む)。理念として、「学生個々の人格形成と実践的な海事技術の習得を中心にした世界に通用する船員の高等教育を行う」と掲げられている。
なお、NYK-TDGマリタイムアカデミーは、今年、日本国土交通省が創設した「機関承認制度」における船員教育機関として、日本で初めての認定を取得した。 この制度は、適切な教育訓練を行っていると国土交通大臣が認定した諸外国の船員教育機関を卒業した者に対して、従来から実施している承認試験など個々の能力確認を要せずに、日本籍船の船舶職員(船長・航海士または機関長・機関士)として乗り組むことを認めるものである。
今回認定されたのは、NYK-TDG マリタイムアカデミーとフィリピン国立商船大学(PMMA)、フィリピン国内最大の海員組合や世界各国の民間団体らが支援するアジア・太平洋海事大学(MAAP)の計3校である。
認定に当たりNYK-TDG マリタイム・アカデミーは国交省による現地調査を受け、船舶の運航または機関の運転に関する課程を設置し、海技資格取得に対応した船員教育を適切に実施していることが確認された。この認定は、今回卒業式を迎えた第一期生116人から適用されることとなる(11年9月21日の日本郵船株式会社ニュースリリースなどより)。