FAO、アジア等での鳥インフルエンザ再拡大に対する注意喚起
2011/08/31
特に中国、インド、インドネシア、ベトナム等でのリスク大と指摘
フィリピン、高病原性インフル非感染国だが警戒必要
国際連合食糧農業機関(FAO)は8月29日に、「毒性の強い鳥インフルエンザの変異株が、人間の健康に対して予測不可能なリスクをもたらしながら、アジアやそれを超えて広がる兆しのある中で、高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)が再び蔓延する可能性がある」として、防御態勢とサーベイランスの強化を要請した。
世界保健機関(WHO)の統計によると、H5N1型ウィルスは2003年に初めて出現して以来、565人に感染、331人の死亡者を出した。最も新しい死亡例は、先週カンボジアで起こったもので、2011年の人間への感染は登録されているもので8件、それらすべてが致死的なものであった。
2003年以降、H5N1は、4億羽以上の家禽を殺しまたは殺処分に至らしめ、2006年のピークには63カ国に達した感染国のほとんどから消滅されるまでに、世界で推計200億米ドルもの経済的損失をもたらした。
その後、家禽及び野鳥での感染件数は、年間最多の4, 000件から2008年半ばの302件へと一旦は減少した。しかし、2010年から2011年には、約800件を記録するなど、徐々に発生件数が再増加している。 同時に、2008年は家禽と野鳥の両方において、再現したH5N1型ウィルスが地理的に拡大する始まりとなった。
フアン・ルブロス主席獣医官によると、ウィルスの拡大は渡り鳥の移動に関係していると見られている。渡り鳥はウィルスが長距離にわたって移動するのを助け、結果として、過去2年間でH5N1は何年間もウィルスのなかった国々において、家禽または野鳥の中に出現した。 最近の感染は、イスラエル、パレスチナ自治区、ブルガリア、ルーマニア、ネパール、モンゴルで認められている。
更に懸念されることは、既存ワクチンによって提供される防御機能を、すり抜けることができると見られる新しいウィルスが、中国とベトナムで出現していること。 今年の春の家禽ワクチンキャンペーンを延期したベトナムでは、H5N1が流行している同国北部地域と中央地域のほとんどにおいて、H5N1-2.3.2.1として知られる新ウィルス株が広がっている。
ベトナムの獣医療サービスは厳戒態勢を敷いており、伝えられるところでは、この秋に対象を限定した新たなワクチンキャンペーンを検討しているところである。ベトナムにおけるウィルスの流行は、カンボジアやタイ、マレーシアへの直接的な脅威となるだけではなく、さらに離れた朝鮮半島や日本をも危機にさらす。野鳥の移動もまた、ウィルスを他の大陸へと広げ得る。
ルブロス首席獣医官は、今年の秋、冬にH5N1が大流行する可能性を懸念するとともに、「H5N1が未だ強く残っている国々、すなわち、バングラデシュ、中国、エジプト、インド、インドネシア、ベトナムといった国々は、最大の難問に直面する可能性がある。そして、安全と言える国はどこにもないだろう」とコメントした。 そして、「引き続き、防御態勢とサーベイランスが極めて重要である。現状に満足している時ではない。H5N1への警戒を緩めてはならない」と強調している。
なお、フィリピンでは、H5N1型鳥インフルエンザ感染は確認されていない。すなわち、東南アジアでは、数少ない高病原性鳥インフルエンザ非感染国である。しかしながら、渡り鳥の多く飛来する地域でもあり、警戒は怠れないといえよう(11年8月29日のFAO日本事務所発表などより)。
フィリピン、高病原性インフル非感染国だが警戒必要
国際連合食糧農業機関(FAO)は8月29日に、「毒性の強い鳥インフルエンザの変異株が、人間の健康に対して予測不可能なリスクをもたらしながら、アジアやそれを超えて広がる兆しのある中で、高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)が再び蔓延する可能性がある」として、防御態勢とサーベイランスの強化を要請した。
世界保健機関(WHO)の統計によると、H5N1型ウィルスは2003年に初めて出現して以来、565人に感染、331人の死亡者を出した。最も新しい死亡例は、先週カンボジアで起こったもので、2011年の人間への感染は登録されているもので8件、それらすべてが致死的なものであった。
2003年以降、H5N1は、4億羽以上の家禽を殺しまたは殺処分に至らしめ、2006年のピークには63カ国に達した感染国のほとんどから消滅されるまでに、世界で推計200億米ドルもの経済的損失をもたらした。
その後、家禽及び野鳥での感染件数は、年間最多の4, 000件から2008年半ばの302件へと一旦は減少した。しかし、2010年から2011年には、約800件を記録するなど、徐々に発生件数が再増加している。 同時に、2008年は家禽と野鳥の両方において、再現したH5N1型ウィルスが地理的に拡大する始まりとなった。
フアン・ルブロス主席獣医官によると、ウィルスの拡大は渡り鳥の移動に関係していると見られている。渡り鳥はウィルスが長距離にわたって移動するのを助け、結果として、過去2年間でH5N1は何年間もウィルスのなかった国々において、家禽または野鳥の中に出現した。 最近の感染は、イスラエル、パレスチナ自治区、ブルガリア、ルーマニア、ネパール、モンゴルで認められている。
更に懸念されることは、既存ワクチンによって提供される防御機能を、すり抜けることができると見られる新しいウィルスが、中国とベトナムで出現していること。 今年の春の家禽ワクチンキャンペーンを延期したベトナムでは、H5N1が流行している同国北部地域と中央地域のほとんどにおいて、H5N1-2.3.2.1として知られる新ウィルス株が広がっている。
ベトナムの獣医療サービスは厳戒態勢を敷いており、伝えられるところでは、この秋に対象を限定した新たなワクチンキャンペーンを検討しているところである。ベトナムにおけるウィルスの流行は、カンボジアやタイ、マレーシアへの直接的な脅威となるだけではなく、さらに離れた朝鮮半島や日本をも危機にさらす。野鳥の移動もまた、ウィルスを他の大陸へと広げ得る。
ルブロス首席獣医官は、今年の秋、冬にH5N1が大流行する可能性を懸念するとともに、「H5N1が未だ強く残っている国々、すなわち、バングラデシュ、中国、エジプト、インド、インドネシア、ベトナムといった国々は、最大の難問に直面する可能性がある。そして、安全と言える国はどこにもないだろう」とコメントした。 そして、「引き続き、防御態勢とサーベイランスが極めて重要である。現状に満足している時ではない。H5N1への警戒を緩めてはならない」と強調している。
なお、フィリピンでは、H5N1型鳥インフルエンザ感染は確認されていない。すなわち、東南アジアでは、数少ない高病原性鳥インフルエンザ非感染国である。しかしながら、渡り鳥の多く飛来する地域でもあり、警戒は怠れないといえよう(11年8月29日のFAO日本事務所発表などより)。