エプソン、フィリピンでも社会貢献活動活発化

2011/08/24

セイコーエプソンは、7月末に、2010年度のエプソングループのCSR( 企業の社会的責任)活動をまとめた「サステナビリティ・レポート2011」をウエブサイトに公開した。なお、同社のサステナビリティ・レポートは、2009年より、環境負荷低減の観点からWebによる電子媒体のみの発行となっている。

このサステナビリティ・レポート2011などによると、エプソン・グループは、フィリピンでも、積極的な社会貢献活動、環境保全活動などを展開している。

製造拠点であるエプソン・プレシジョン・フィリピン(EPPI)は、2004年8月に植林・育林プログラムをスタートし、マキリン山で活動を展開している。2010年度はこの植林プログラムに社員135人が参加した。なお、2012年までの3カ年計画で1.5ヘクタールに植林する予定である。

また10代の若者に向けたプロジェクトも立ち上げ、地元の高校生61名、先生2名とともに植林を行った。これはWeb上で植物を育て農場を運営するゲームに参加している若者に、パソコンのなかだけでなく、実際に植林を体験してもらうことが大切だと考えたからである。

また、循環型社会を築くためには、企業・行政・消費者の連携のもと、使用済み商品を適切に処理する必要がありが、フィリピンでも消費者ニーズを把握しながら、使用済み商品の回収・リサイクルシステムを構築している。

EPPIは環境保全と地域への社会貢献を目的に、フィリピンの大手バッテリーメーカーであるMotolite社が主催する“Balik Battery Program”へ参加している。このプログラムは、使用済みバッテリーを回収して換金し、フィリピン国内の教育支援に役立てる活動である。

EPPIは2010年から同プログラムに参加しており、これまでに合計2,300kgのバッテリーを6万3,000フィリピン・ペソ(約12万円)と交換した。この資金を活用して、バタンガス州リパ市のLodlod小学校とKayumanggi小学校に、絵本や教科書、参考書などと一緒に本棚やテーブルを寄贈した。これらを備えた部屋は「ラーニング・リソース・センター(学習資料室)」として活用されている。フィリピンの公用語はフィリピノ語と英語であるが、英語が苦手な生徒も多いため、英語で書かれているフィリピンの童話などの絵本は勉強に役立つと喜ばれている。

このプロジェクトは、活動自体は単純なものであるが、EPPIの社会貢献活動の転機となった。教科書を手にした子供たちが、勉強できる喜びに目を輝かせ、彼らの将来の可能性を大きく広げることができたことに、協力したEPPI全社員もやりがいを感じることができたとのことである。EPPIはこのような社会貢献活動を積極展開している。

一方、エプソンは、プロジェクターおよびインクジェットプリンターの生産体制を増強するため、EPPIに、プロジェクターおよびインクジェットプリンターの新工場を建設中。EPPIは、新工場を既存工場(バタンガス州リパ市リマ・テクノロジーセンター)に隣接する土地に建設し、2011年10月に稼動を開始する予定。

新工場においてプロジェクターの生産を新たに開始し、EPPIにおけるプロジェクターの生産体制は、2012年度までに年間約100万台に引き上げる予定である。また、インクジェットプリンターの生産体制は、既存工場も含め、2012年度までに現在の2倍となる年間約600万台に増強する予定である。

なお、EPPIにおける2012年度までの総投資額は、約1億1千万米ドル(約90億円)となる見込みである。また、EPPIの人員についても2012年度までに約2,300人増員し、約6,000人体制とする予定である

このように、エプソンのフィリピンにおける事業拡大による投資、雇用、納税額拡大等の貢献、及び社会貢献がそろって拡充しつつあるといえよう(セイコーエプソンのウエブサイトなどより)。