JICA、フィリピンの競争政策に関する能力向上支援

2011/08/18

貿易産業省や法務省に協力、包括的競争法・政策実現へ

JICAは、対フィリピン投資促進技術支援プログラム「包括的国家競争政策のための能力向上プロジェクト 」を実施中。協力期間は、2010年3月1日 ~ 2013年 3月31日とされている。

このプロジェクトは、フィリピン貿易産業省(DTI)貿易規制・消費者保護局をカウンターパートとしてスタートしている。 DTI貿易規制・消費者保護局は、大統領令33号と242号に基づき、各省・機関の競争政策実施にかかる能力向上を図る権限を有している。

フィリピンは公正取引を確保するための民間商取引に関する競争/反トラスト、独占、談合に関する包括的な法制が存在せず、多種多様な法制の中に関連法規が分散し、個別の事業法の中で競争法・競争政策が運用されている。

このため、競争法・競争政策全体として不十分かつ実際の適用においては緻密さにかけ、規定内容に重複や矛盾が見られる状況にあるほか、分野・セクターごとに異なる法が存在し、執行にかかるルールも多様であることから調整・統一された形での執行がなされず、各管轄機関の間での執行の重複などの不具合が生じている。

また、これら法規は刑事罰を伴う規定であることから法的責任を証明するための証拠が重視されるが、関係機関においては十分な審査能力がないために証拠不十分として訴追に至らないケースがほとんどである。

そこで、フィリピン政府は、競争法・競争政策の実施にかかわり、将来的に単一機関が設置された際にはその一部となりうる政府機関職員の能力向上を目的として「包括的国家競争政策のための能力向上」プロジェクトを要請した。これを受け、JICAは詳細計画策定調査を2009年12月6日~12月18日に実施、同年12月9日合意書に署名したという経緯がある。そして、日本では公正取引委員会の協力を得ている。

この「包括的国家競争政策のための能力向上プロジェクト」のもとで、JICAは DTI貿易規制・消費者保護局との協力により既に3回のワーク-クショップを開催するなどの活動を行ってきた。そして、このほど、フィリピン法務省(DOJ)とも実施に関する合意を交わすこととなった。

DOJは、先般交付された大統領令45号において、包括的競争政策の基幹官庁となることが決定された。これを受けて、JICAは、8月24日と25日に予定されている第4回ワークショップにタイミングを合わせ、8月末に、従来のDTIのみならず、DOJとも実施に関する合意、すなわち3者合意を交わす予定である(JICA資料などより)。