7月OFW送金、7%増の17億ドルで月間新記録

2011/08/16

上半期6%増の96億ドル、年間でも史上最高ペース
日本からは8%増の4.7億ドル、シェア4.9%で第4位


フィリピン中央銀行(BSP)の発表(速報値)によると、2011年6月のフィリピン人海外労働者(OFW)からの本国送金額(銀行経由)は前年同月比7.0%増、前月比2.9%増の17億3,732万米ドルで過去最高を記録した。

一方、2011年上半期(1~6月)の累計OFW送金額は前年同期比6.3%増の96億3,578万米ドル。陸上ベースのOFWからの送金は4.2%増の75億6,771万ドル、海上ベースのOFWからの送金は15.0%増の20億6,807万ドルと堅調だった。長引く中東及び北アフリカ地域の政情不安や欧州の国家債務不履行危機にもかかわらず、海外におけるフィリピン人熟練労働者に対する根強い需要と国内外の金融機関の送金ネットワークと金融商品・サービスの拡充が大きく寄与した。

6月の日本からのOFW送金額は前月比1.6%増の8,618万米ドルで今年最高額となった。上半期では前年同期比7.9%増の4億6,737万米ドル、全体の4.9%を占め国別第4位となっている。東大震災の悪影響はさほど見られていないといえよう。

国別(上半期)では、1位は米国で4.1%増の39億8,814万米ドル(シェア41.4%)、2位カナダは1.2%増の9億6,837万米ドル(10.0%)、3位サウジアラビアは1.4%増の7億5,452万米ドル(7.8%)、5位英国は8.8%増の4億6,491万米ドル(4.8%)、6位シンガポールは6.5%増の4億0438万米ドル(4.2%)、7位アラブ首長国連邦(UAE)は9.2%増の3億8,083万米ドル(3.9%)、8位イタリアは1.0%増の2億8,403万米ドル(2.9%)。

フィリピン海外雇用管理局(POEA)の予備データによると、2011年1月1日から7月29日までの約7カ月間に認可された求人件数は38万6,559件で、そのうちの35.2%に当たる13万6,070件が処理済み。主要な求人先は、UAE、台湾、カタール、クウェート、香港など。主な求人内容は、製造業、サービス業、専門職、技術者、技術関係労働者。

フィリピンと台湾政府との間で台湾系企業のフィリピン人労働者直接雇用に関する覚書(MOU)が調印されたことで、今後台湾でのOFW雇用拡大が期待される。

なお、この統計におけるOFW送金額は中央銀行が把握している公式銀行ルートによるものである(11年8月15日のフィリピン中央銀行発表より)。

海外フィリピン人労働者(OFW)からの送金額推移(単位:百万米ドル)
年間推移 1~6月
03年 04年 05年 06年 07年 08年 09年 10年 10年 11年 伸び率%
送金額 7,578 8,550 10,689 12,761 14,450 16,427 17,384 18,763 9,062 9,636 6.3
日本から 346 308 357 453 402 575 774 883 433 467 7.9

月別海外フィリピン人労働者(OFW)からの送金額推移(単位:百万ドル)
10年 11年
6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月
送金額 1,624 1,617 1,503 1,601 1,674 1,613 1,694 1,477 1,501 1,617 1,616 1,688 1,737
前年同月比(%) 8.3 8.2 9.8 10.6 9.3 10.5 8.1 7.6 6.2 4.1 6.3 6.9 7.0
(出所: 中央銀行資料などより作成、10年、11年の数値は速報値)