JCCIPIフィリピン電力小売り自由化セミナー開催
2011/08/02
今年12月26日から1MW以上の需要家が自由化対象
フィリピン日本人商工会議所中小企業委員会が、7月29日に、マカティ市マンダリン・ホテルにおいて、フィリピン電力小売り自由化セミナーを開催した。
同中小企業委員会では、定期的に“こんなことが知りたい”をキーワードに気楽なスタイルで話を聞く会を開催している。今回は、フィリピン進出の日系企業にとって大きな関心事項である電力問題をとりあげた。
特に製造業にとって、これまで高い電気料金が頭痛の種であった。一方で、今年12月から、電力小売り自由化が始まり、工場を運営している大口需要家は、小売り電力販売会社から直接に電気料金を交渉して購入できるようになる。よって、今回は、電力セクター改革の動向と日系企業のとりうる対応策などについて、説明された。
今回のセミナーでは、国際協力機構(JICA)フィリピン事務所 濱口勝匡氏が「JICA による電力セクターへの取組」、野村総合研究所マニラ支店 水野兼悟氏が「電力セクター改革の背景」、国際協力銀行(JBIC)マニラ駐在員事務所長石川純生氏と元JBICマニラ駐在員事務所コンサルタント 鈴木翔三氏が「電力小売り自由化と日系企業のとりうる対応策」について説明した。
鈴木氏によると、電力小売り自由化は、自由競争原理の導入による、アジアでも最高水準とであるフィリピンの電力単価の低減化などを目的としたもので、オープンアクセス&小売競争というスキームのもと、2011年12月26日から開始と決定されている。
オープンアクセス&小売競争スキームでは、大口需要家は、小売電力供給企業(RES)を通じて、どの発電事業者から電力を購入するか自由選択が可能となる(自由競争原理の導入)。なお、大口需要家とならない需要家は従来通り、配電企業(メラルコ)などから電力供給を受ける。
その購入電力を受けるための送電網と配電網の利用を、規定料金を支払うことで自由に利用が可能となる(オープンアクセス)。
小売り自由化の日程は、以下のように予定されている。
第1ステージ(2011年12月26日):1MW以上の需要家
第2ステージ(第1ステージ開始2年後):750KW以上の需要家
第3ステージ(第2ステージ開始1~7年後):全ての需要家
現在、エネルギー規制委員会(ERC)から公表されている大口需要家数は187口(うち日系企業18口)で、ウエブサイトで閲覧かのうとのこと。ERCは可能性のある大口需要家数は、ルソンで686口、ビサヤで60口、合計746口と予想している。
この小売自由化に向けての需要家側の対応策はとしては、まず、当該地の配電企業と緊密な連絡を取り、大口需要家となるのか否かを確認し、今後の手続きを確認する。小売電力市場開始への準備としては、開始30日前までに1.大口需要家としての認定、2.小売電力供給企業(RES)との交渉、電力供給契約の締結である。これを怠った場合、プレミアム付きの高いSOLR(サプライヤー・オブ・ラストリゾート)料金の適用、あるいは電力供給停止の状態になる可能性が大きいとのことである。
なお、同一サイト需要家で、複数の電力計を保有する場合は、配電企業に対し、親となる電力計設置を要請し、過去の月次合計消費量が1MWを超える場合は、大口需要家と認定される(フィリピン日本人商工会議所中小企業委員会セミナー資料より)。
参考:アジアの1Kwh当たり一般電力料金比較(ジェトロの投資コスト比較2011年4月より:単位米ドル)
(出所:野村総合研究所マニラ資料より)
参考:フィリピン全体の発電能力の推移(単位:MW)
(出所:フィリピン・エネルギー省資料より作成)
参考:2010年のフィリピン全体の発電能力詳細(単位:MW)
(出所:フィリピン・エネルギー省資料より作成)
フィリピン日本人商工会議所中小企業委員会が、7月29日に、マカティ市マンダリン・ホテルにおいて、フィリピン電力小売り自由化セミナーを開催した。
同中小企業委員会では、定期的に“こんなことが知りたい”をキーワードに気楽なスタイルで話を聞く会を開催している。今回は、フィリピン進出の日系企業にとって大きな関心事項である電力問題をとりあげた。
特に製造業にとって、これまで高い電気料金が頭痛の種であった。一方で、今年12月から、電力小売り自由化が始まり、工場を運営している大口需要家は、小売り電力販売会社から直接に電気料金を交渉して購入できるようになる。よって、今回は、電力セクター改革の動向と日系企業のとりうる対応策などについて、説明された。
今回のセミナーでは、国際協力機構(JICA)フィリピン事務所 濱口勝匡氏が「JICA による電力セクターへの取組」、野村総合研究所マニラ支店 水野兼悟氏が「電力セクター改革の背景」、国際協力銀行(JBIC)マニラ駐在員事務所長石川純生氏と元JBICマニラ駐在員事務所コンサルタント 鈴木翔三氏が「電力小売り自由化と日系企業のとりうる対応策」について説明した。
鈴木氏によると、電力小売り自由化は、自由競争原理の導入による、アジアでも最高水準とであるフィリピンの電力単価の低減化などを目的としたもので、オープンアクセス&小売競争というスキームのもと、2011年12月26日から開始と決定されている。
オープンアクセス&小売競争スキームでは、大口需要家は、小売電力供給企業(RES)を通じて、どの発電事業者から電力を購入するか自由選択が可能となる(自由競争原理の導入)。なお、大口需要家とならない需要家は従来通り、配電企業(メラルコ)などから電力供給を受ける。
その購入電力を受けるための送電網と配電網の利用を、規定料金を支払うことで自由に利用が可能となる(オープンアクセス)。
小売り自由化の日程は、以下のように予定されている。
第1ステージ(2011年12月26日):1MW以上の需要家
第2ステージ(第1ステージ開始2年後):750KW以上の需要家
第3ステージ(第2ステージ開始1~7年後):全ての需要家
現在、エネルギー規制委員会(ERC)から公表されている大口需要家数は187口(うち日系企業18口)で、ウエブサイトで閲覧かのうとのこと。ERCは可能性のある大口需要家数は、ルソンで686口、ビサヤで60口、合計746口と予想している。
この小売自由化に向けての需要家側の対応策はとしては、まず、当該地の配電企業と緊密な連絡を取り、大口需要家となるのか否かを確認し、今後の手続きを確認する。小売電力市場開始への準備としては、開始30日前までに1.大口需要家としての認定、2.小売電力供給企業(RES)との交渉、電力供給契約の締結である。これを怠った場合、プレミアム付きの高いSOLR(サプライヤー・オブ・ラストリゾート)料金の適用、あるいは電力供給停止の状態になる可能性が大きいとのことである。
なお、同一サイト需要家で、複数の電力計を保有する場合は、配電企業に対し、親となる電力計設置を要請し、過去の月次合計消費量が1MWを超える場合は、大口需要家と認定される(フィリピン日本人商工会議所中小企業委員会セミナー資料より)。
参考:アジアの1Kwh当たり一般電力料金比較(ジェトロの投資コスト比較2011年4月より:単位米ドル)
マニラ | シンガポール | セブ | プノンペン | KL | バンコク | ハノイ | ホーチミン |
0.23 | 0.20 | 0.19 | 0.15 | 0.09 | 0.08 | 0.07 | 0.07 |
参考:フィリピン全体の発電能力の推移(単位:MW)
配電設備容量(MW) | 1995 | 2000 | 2005 | 2010 | 2010年のシェア% |
石油 | 5,425 | 4,987 | 3,663 | 3,193 | 19.52 |
石炭 | 850 | 3,963 | 3,967 | 4,867 | 29.75 |
天然ガス | 3 | 2,763 | 2,861 | 17.49 | |
地熱 | 1,154 | 1,931 | 1,978 | 1,966 | 12.02 |
水力 | 2,303 | 2,301 | 3,222 | 3,400 | 20.78 |
新再生可能エネルギー | - | - | 26 | 73 | 0.45 |
合計 | 9,723 | 13,185 | 15,619 | 16,359 | 100.00 |
参考:2010年のフィリピン全体の発電能力詳細(単位:MW)
発電所タイプ | 発電能力(MW) | シェア% |
石炭 | 4,867 | 29.75 |
石油ベース | 3,193 | 19.52 |
ディーゼル | 1,768 | 10.81 |
石油火力 | 650 | 3.97 |
ガス火力 | 775 | 4.74 |
天然ガス | 2,861 | 17.49 |
地熱 | 1,966 | 12.02 |
水力 | 3,400 | 20.78 |
風力 | 33 | 0.20 |
太陽エネルギー | 1 | 0.01 |
バイオマス | 39 | 0.24 |
合計 | 16,359 | 100.00 |