日産、ASEANシェア15%目指す(現在6%)

2011/07/26

2016年度販売、昨年度比3倍超の50万台へ
新設のアジア・パシフィック日産自動車が統括

日産自動車がASEAN地域事業を大幅に拡充する方針。

日産自動車の子会社で、ASEAN地域の戦略的統括会社として新たに設立されたアジア・パシフィック日産自動車(NMAP)は7月25日、ASEAN地域でのさらなる成長に向けた6ヵ年の新中期経営計画を発表した。この計画は、2010年度に15万台だった販売台数を2016年度までにその3倍以上となる50万台とし、市場占有率も2010年度の6%から15%に引き上げることを目指している。

これらの目標達成へ向けた成長戦略として、期間中には10車種以上の新車を投入するとともに、さらなる競争力確保のため、政府機関とも緊密に連携していく。なお、同計画の対象となる地域は、主にフィリピン、タイ、インドネシア、マレーシア、およびベトナムの5ヵ国。

日産が先月、グローバル本社で発表した新中期経営計画「日産パワー88」は、ブランドパワーおよびセールスパワーの向上を図り、2016年度末までにグローバル市場占有率を8%に伸ばすと同時に、売上高営業利益率を同経営計画期間中のなるべく早いタイミングで8%に引き上げ、その後これを維持していくことを目標として掲げている。今回のアセアン地域の新中期経営計画は、この「日産パワー88」の目標達成を支えるために策定されたものである。

アセアン新中期経営計画では、以下のような4つの具体策で目標達成を目指す。

1.インドネシアの「低価格・グリーンカープログラム」構想に向けた準備
現在インドネシア政府主導のもと本プログラムが検討されている。これは日産自動車が同地域での販売を伸ばすための主軸となる。
2.研究開発(R&D)およびパワートレイン生産の現地化を加速
NTCSEA(日産テクニカルセンター・サウスイーストアジア)のエンジニアを、現在の120名から2016年度までにはその3倍以上となる370名に拡充し、タイおよびインドネシアでのR&D機能を強化する。さらに、日産の主要関連会社であるジヤトコは、約200億円(2億5,000万USドル)*を投資し、タイで無段変速機(CVT)の生産工場を新たに建設する。ジヤトコは、CVTをタイで現地生産する初の企業となる。
3.生産能力の倍増:
アセアン地域における需要の高まりに対応すべく、年間生産能力を35万台から70万台へ引き上げる。
4.タイにおけるNMAPの設立:
新たに設立した戦略的地域統括会社であるNMAPは、中期経営計画の進捗をクロスファンクショナルにコントロールし、達成に向けて強力なリーダーシップを発揮していく。

アセアン地域の中でも特にインドネシアの全体需要は、政府主導の低価格・グリーンカープログラム構想により大幅に増加していくことが見込まれている。日産の子会社であるインドネシア日産(NMI)は7月25日、この低価格・グリーンカープログラムに積極的に参画する意思を正式に表明した。NMIは、このプログラムを通じて現地生産を増やすためのさらなる投資を行い、インドネシアの自動車産業と経済の発展に貢献していく。

日産は、インドネシアでのさらなる成長を目指し250億円(3億1,250万USドル)を投資する計画。この投資は主に、2013年までに車両工場の生産能力を18万台に増強するとともに、エンジン組み立て工場の新設にあてられます。従業員数は現在の900名から約2,500名となる見込み。
NMIは2011年度、販売台数6万台、市場占有率7%の達成に向けて取り組んでいますが、これらの戦略をもとに、2013年までにはさらに9万台の販売を目指していく。

なお、 アジア・パシフィック日産自動車(NMAP)は、シンガポールに拠点を置いていたアジア・パシフィック日産会社(NAP)が担っていた地域マーケティング・販売機能と、タイに拠点を置いていたNTCSEA(日産テクニカルセンターサウスイーストアジア)を再編成し、2011年7月1日に新たな地域統括会社としてバンコクに設立された。主に、地域マーケティング・販売、商品企画、プログラム管理、R&D、モノづくり戦略(購買、生産、SCM)等の役割を担ってる(11年7月25日の日産自動車株式会社ニュースリリースより)。