第1四半期の経常収支、黒字を継続

2011/06/23

黒字23%減の9.3憶ドル、対GDP比1.8%
OFW送金が貿易赤字を完全にカバー

 フィリピン中央銀行は6月22日、11年第1四半期の国際総合収支を発表した。


 [2011年第1四半期の国際総合収支動向]
 下表の通り、2011年第1四半期の国際総合収支の黒字は前年同期比173.7%増(約2.7倍)の34億9,300万米ドルに達した。対GNP比は5.1%、対GDP比は6.8%。堅調な投資・資本の純流入で資本金融収支は前年同期比54.4倍増の21億2,100万ドルと大幅な黒字になり、対外支払ポジションが改善した。

 経常収支の黒字は前年同期比23.0%減の9億3,300万米ドルで、対GNP比は1.4%、対GDP比は1.8%だった。海外フィリピン人就労者(OFW)送金が5.9%増の47億5,500万米ドルに達し、物資貿易の39億4,700万米ドルの赤字をカバー、経常収支の黒字維持に大きく貢献した。

 なお、2011年3月末の総外貨準備高(GIR)は前年同月末比44.7%増の660億ドルに達した。これは物資・サービス輸入の10.1カ月分に相当。また、原本ベース短期負債の10.5倍、残存ベース短期負債の5.9倍に相当する水準。


 [国際総合収支発表について]
 中央銀行は国際収支(BOP)積み上げ方式統計に関して、2003年10月にそれまでの毎月発表から四半期毎の発表へ変更することを決定した。これは、統計内容の確認、モニター、調整を強化し、より精度の高い統計を発表することが目的である。
 
 ただし中央銀行は、毎月、純外貨準備高(NIR)の変動から算出した国際総合収支推計速報値を発表している。ちなみに、最新数値は、6月18日に発表された2011年5月分速報値。それによると、2011年年初5カ月間の黒字は前年同期比75%増の47億9,400万ドルであった。しかし、上記のような積み上げ方式の国際総合収支発表は四半期に1回のみである(11年6月22日のフィリピン中央銀行発表より)。

 11年第1四半期(1-3月)の国際総合収支内訳(単位:百万米ドル)
第1四半期
10年 11年 伸び率
物資・サービス貿易収支 -2086 -2900 赤字39.0%拡大
 対GNP比(%) -3.4 -4.2
 対GDP比(%) -4.7 -5.7
    輸出 14564 15900 9.2%
    輸入 16650 18800 12.9%
 物資貿易収支 -2898 -3947 赤字36.2%拡大
 サービス貿易収支 812 1047 28.9%
経常収支 1211 933 -23.0%
 対GNP比(%) 2.0 1.4
 対GDP比(%) 2.7 1.8
   OFW送金額合計 4492 4755 5.9%
    うち銀行経由分 4339 4595 5.9%
資本金融収支 39 2121 5338.5%
 資本収支 21 16 -23.8%
 金融収支 18 2105 11594.4%
誤差脱漏(ネットベース) 26 439
国際総合収支 1276 3493 173.7%
対GNP比(%) 2.1 5.1
対GDP比(%) 2.9 6.8
     (出所:フィリピン中央銀行資料より)