比パナソニック、日本人取締役6名再任

2011/06/22

2010年度8.8倍増益、税前利益は42%減少

 パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズ(PMPC、会計期末3月)は、6月17日に2011年次株主総会を開催した。


 PMPCの設立は1963年、日本のパソニック本社のPMPC保有比率は79.96%(2011年3月末時点)である。今回の株主総会においては、PMPC取締役として、パナソニックから丸尾氏(現会長)、西脇氏(同社長)、田宮氏(同バイスプレジデント)、福富氏(同上級取締役/トレラジャー)、大川氏、寺脇氏合計6名の日本人取締役が再任された。なお、PMPCの取締役定員数は9名(うち2名が独立系)である。
 
 株主総会通知に記載されたPMPCの2010年度(2009年3月~2011年3月)の業績は以下のとおり。
 2010年度の純売上高は前年度比10%増の71億0700万ペソに達した。製造コスト削減効果が顕在化したが、競争激化等にともな販売費が同14.5%増の14億9860万ペソ(うち広告費が同2.3倍の9306万ペソ)へ増加したことなどにより、税引き前利益は同41.9%減の6299万ペソにとどまった。
 
 しかし、税金引当が83%減の1755万ペソと急減したことで、純利益は同780.5%増(約8.8倍)の4545万ペソへと大幅増加した。税金引当急減は、主に、2009年度のMCIT(最低法人所得税)やNOLCO(繰越欠損金)措置終了などに伴う繰り延べ税金資産減少によるもの。ちなみに、2009年度の税金引当は2008年度比2.9倍の1億0325万ペソと高水準であった。

 輸出比率は14.9%で、前年度の12.6%から上昇した。2010年度の主な輸出先は香港、ナイジェリア、カンボジアなどであった。

 2010年度の部門別売上高は、家電が前年度比9.7%増の54億3913万ペソ(構成比76.5%)、AVCネットワーク(映像・音響・コミュニケ―ションなど)が同17.2%増の10億5943万ペソ(同14.9%)、その他が同1.8%増の6億0862万ペソ(同8.6%)であった。
 下表のとおり部門別税引き前損益は、主力の家電部門の黒字が12.7%増加する一方、AVCネットワーク部門の赤字が493%増加した。その他部門が黒字転換したが、全体では41.9%の減少となった。

 PMPCは、一段の生産効率化や環境配慮型製品(エコ製品)積極投入などにより業績向上を目指している((11年6月21日のフィリピン証券取引所回覧4618-2011号、パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズの株主総会通知などより)。

 パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズ(PMPC)の部門別税引き前利益内訳(単位:ペソ)
部門 2008年度 2009年度 2010年度 10年度増減
家電 4億4,093万 5億3,808万 6億0,639万 黒字12.7%増加
AVCネットワーク -1億0,437万 -2,172万 -1億2,883万 赤字493%増加
その他 9,846万 -4,240万 4,428万 黒字転換
連結調整 -3億1,755万 -3億6,555万 -4億5,885万 消去25.5%増加
合計 1億1,747万 1億0,841万 6,299万 黒字41.9%減少
(出所:PMPC資料より作成)