中央銀行追加引き締め、預金準備率1%引上げ
2011/06/17
16日の金融委員会で決定、政策金利は据え置き
中央銀行(BSP)金融委員会は6月16日の定例会議(年10回開催)において、政策金利の据え置きを決定した。
金融委員会は、利上げは見送ったものの、預金準備率の1%引き上げを決定した。すなわち、非金利政策による追加引き締め措置が講じられた。この預金準備率引き上げは、中央銀行管轄の全ての銀行のほか、準銀行機能を有するノンバンクが対象となる。
これまで各銀行に課せられている預金準備率は19%であり、今後20%へ上昇する。インフレ期待が一時より多少緩和したとはいいながら、再上昇懸念が払拭できないことから、金融委員会は追加的な予防措置として、預金準備率引き上げを決定した。ちなみに、預金準備率1%引き上げで、380億ペソの流動性吸収効果があるとされている。
なお、金融委員会は、3月24日と5月5日と過去2回連続で、政策金利である翌日物金利各々0.25%を引上げた。その結果、翌日物貸出金利6.50%、同借入金利4.50%となっている。
今回、利上げを見送ったのは、過去2回連続の利上げの効果もあって、インフレ期待がやや後退、政府のインフレ率目標(3.0~5.0%)の達成が可能になっていることによる。ただし、前期の通り、インフレ懸念は残っており、預金準備率引上げという追加的引締め措置が講じられたのである(11年6月16日のフィリピン中央銀行発表などより)。
インフレ目標と実績(いずれも2000年基準)
2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011~14年 | |
公式インフレ目標 | 3.0~5.0% | 2.5~4.5% | 3.5~5.5% | 3.0~5.0% |
インフレ率実績 | 9.3%(実績) | 3.2%(実績) | 3.8%(実績) |