4カ月間のOFW送金、6%増の62億ドル

2011/06/16

日本からは7.3%増の3億ドル、国別5位に
東日本大震災の影響は見られず

 フィリピン中央銀行(BSP)の発表(速報値)によると、2011年4月のフィリピン人海外労働者(OFW)からの本国送金額(銀行経由)は前年同月比6.3%増、前月比0.04%減の16億1,590万米ドルだった。

 4月の日本のOFWからの送金額は7751万米ドル。今年は1月7266万米ドル、2月7454万米ドル、3月7170万米ドルと推移しており、4月の7751万米ドルが今年の最高額。これまでのところでは、東日本大震災の影響はあまり見られていない。

 2011年年初4カ月(1-4月)では、前年同期比6.0%増の62億1,025万米ドル。陸上ベースのOFWからの送金は4.4%増の48億7,265 万ドル、海上ベースのOFWからの送金は12.2%増の13億3,760万ドルだった。中東及び北アフリカ地域の政情不安や東日本大震災の影響にもかかわらず、安定した成長率を維持した。その主な理由として、フィリピン人熟練労働者に対する需要が依然として堅調だったこと、また、送金ネットワークの拡大により送金し易くなったことが挙げられる。商業銀行の提携先、送金センター、コルレス銀行及び海外支店・代理店の数は11年3月末現在で4,575(前年同月末3,962)に達した。

 フィリピン海外雇用管理局(POEA)の予備データによると、2011年1月1日~5月31日までの5カ月間に認可された求人件数は26万9,386件で、そのうちの32.0%に当たる8万6,300件が処理済み。主要な求人先は、サウジアラビア、UAE、カタール、クウェート、台湾、香港。また、カナダにおいて短期外国人就労者計画を強化するため公布された新規定が11年4月1日付けで有効となった。これにより外国人労働者に対する保護が強化され、カナダ政府は短期的な労働力不足の緩和に引き続き注力できる。

 年初4カ月間の日本からのOFW送金は前年同期比7.3%増の2億9,640万米ドル、全体の4.8%を占め国別第5位となっている。

 国別1位は米国で4.1%増の25億3,509万米ドル(シェア40.8%)、2位カナダは2.1%増の6億3,665万米ドル(10.3%)、3位サウジアラビアは1.2%増の4億9,762万米ドル(8.0%)、4位英国は7.9%増の3億0301万米ドル(4.9%)、6位シンガポールは4.8%増の2億5,537万米ドル(4.1%)、7位アラブ首長国連邦(UAE)は11.7%増の2億3,909万米ドル(3.8%)、8位イタリアは1.5%増の2億0466万米ドル(3.3%)。これら8カ国からの送金は全体の約80%を占めている。

 なお、この統計におけるOFW送金額は中央銀行が把握している公式銀行ルートによるものである(11年6月15日のフィリピン中央銀行発表より)。

 海外フィリピン人労働者(OFW)からの送金額推移(単位:百万米ドル)

年間推移 1~4月
時期 03年 04年 05年 06年 07年 08年 09年 10年 10年 11年 伸び率%
送金額 7,578 8,550 10,689 12,761 14,450 16,427 17,384 18,763 5,860 6,210 6.0
日本から 346 308 357 453 402 575 774 883 276 296 7.3


 月別海外フィリピン人労働者(OFW)からの送金額推移(単位:百万ドル)

10年 11年
時期 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月
送金額 1,520 1,579 1,624 1,617 1,503 1,601 1,674 1,613 1,694 1,477 1,501 1,617 1,616
前年同月比(%) 5.4 6.5 8.3 8.2 9.8 10.6 9.3 10.5 8.1 7.6 6.2 4.1 6.3

     (出所: 中央銀行資料などより作成、10年、11年の数値は速報値)