豊田通商、フィリピンのキシロール生産が本格稼働
2011/06/14
世界初の椰子殻を原料とした機能性甘味料事業
豊田通商(本社:名古屋市)のフィリピンでのキシロ―ル事業が本格稼働した。豊田通商は2009年9月に、韓国最大の総合食品会社であるCJ CheilJedang Corp. (CJ社)と合弁で、天然の機能性甘味料であるキシロースをココナツの椰子殻から抽出し製造・販売するCJ豊田通商フィリピンズ (CJTPI)を設立した。そして 2010年2月26日に、ミンダナオ新工場の起工式を開催した。
この合弁企業CJTPIの生産が、2011年6月より本格稼働した。それに先立ち、2011年5月19日、現地において、ビナイフィリピン副大統領、ミンダナオ州知事、駐フィリピン日本国公使、駐フィリピン韓国大使など来賓列席のもと、新工場の開所式を開催した。
CJTPIの工場はミンダナオ島ダバオ州サンタクルーズ市に立地し、工場用地は15ヘクタール。投資総額は4700万ドル(約42億円)。生産数量は年間1万5000トンを予定。なお、CJTPIの出資比率は豊田通商33.6%、CJ社44.8%、Binggrae社(韓国の大手乳製品メーカー)11.2%、アンフロ社(ダバオ市の有力財閥)10.4%となっている。
キシロースは自然に存在する低カロリーの機能性甘味料である。主に糖アルコールであるキシリトールの原料として使用されている。新たな合弁会社設立により、豊田通商が強みとするグローバルネットワーク、CJ社の強みである技術力、研究開発力、さらに両社のブランド力と販売網を融合し、戦略的なパートナーシップの構築による食料事業での海外市場の開拓を進める。
キシロースを原料とする「キシリトール」市場は、2009年の世界市場6万トンのうち欧州が3万トン、アジアが2万7千トンであり、今後もガムやオーラルケア商品の市場拡大に伴い特にアジア地域での成長が見込まれている。また、食品での新たな用途開発も進んでおりその原料であるキシロースの需要も広がる方向である。
豊田通商は、CJTPIの本格稼働により、キシロース事業で3年後に30億円の売上を目指す。また、これまで培った機能・ノウハウを生かし、グローバル・バリューチェーンの構築による安定調達を図っていく(11年6月13日の豊田通商株式会社プレスリリースより)。