武田薬品、フィリピン等で骨粗鬆症治療剤販売

2011/06/06

フィリピンでは乳癌の発症予防効能の認可も取得

 武田薬品はフィリピンを含むアジア7市場で骨粗鬆症治療剤エビスタの販売を開始した。
 イーライ・リリー&カンパニー(リリー社、本社:米国インディアナ州インディアナポリス)と、武田薬品は、骨粗鬆症治療剤エビスタ(一般名:ラロキシフェン塩酸塩)に関するアジア7市場(韓国、香港、マカオ、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ)を対象とした製品譲渡契約を5月20日付けで締結し、アジア7市場全てで武田薬品のプロモーションを開始した。

 エビスタは、アジア7市場において、閉経後女性における骨粗鬆症の治療および予防薬として承認されており、フィリピン、シンガポール、タイでは、乳癌の発症予防効能も認められている。

 製品譲渡契約に基づき、エビスタのアジア7市場における販売権は、リリー社から武田薬品に譲渡され、さらに、エビスタに関する商標登録、販売許可および規制当局とのコミュニケーションについても武田薬品に引き継がれる。これらの対価として、武田薬品はリリー社に一定金額を支払う。なお、特許権については、リリー社が引き続き保有する。リリー社から武田薬品への移管作業は5月末から開始しており、各市場での移管作業が完了次第、武田薬品がエビスタに関する全責任を負う。

 なお、エビスタはエストロゲンでもホルモンでもなく、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(米国食品医薬品局における最新の分類は、エストロゲンアゴニスト/アンタゴニスト)であり、骨を強くすることで骨粗鬆症を予防および治療し、骨折を防ぐ。

 武田薬品は、5月に発表した中期計画のなかで、新規進出国・新興国での販売基盤強化を掲げている。そして、5月19日には新興国市場に強みを有するスイスの製薬会社ナイコメッドを96億ユーロ(約1兆1140億円)買収すると発表した。

 武田薬品は既に販売体制の強化を含め、アジア地域における事業拡大に注力しており、上記の契約はプレゼンス強化に繋がるものと期待される。(11年6月3日の武田薬品工業株式会社ニュースリリースより)。