JBIC、フィリピン環境保全支援推進

2011/05/30

 国際協力銀行(JBIC)は、5月12日に、アジア大洋州開発金融機関協会(ADFIAP)およびフィリピン開発銀行(DBP)の協力の下、「Green Finance: Tools and Opportunities for Banks」ワークショップを開催した。

 このワークショップには、JBICの地球環境保全業務 (GREEN)をフィリピンで展開する際のパートナーとなることが期待されるフィリピン公的金融機関2行、民間金融機関3行等から約30名が参加し、Green Financeにおける金融機関の役割、JBICのGREEN及びGREENにおける温室効果ガス排出削減量の測定・報告・検証に係るガイドライン(J-MRVガイドライン)の活用等について活発な意見交換がなされた。

 JBICは、2010年3月、「株式会社日本政策金融公庫法の一部を改正する法律」が施行されたことを受け、地球温暖化の防止等の地球環境の保全を目的とする海外における事業を促進する業務(「地球環境保全業務」、通称「GREEN」)を開始している。

 また、JBICは、GREENの実施にあたり、温室効果ガス排出削減量の測定(Measurement)・報告(Reporting)・検証(Verification)に係る基本的な考え方、手続き等について定めた「国際協力銀行の地球環境保全業務における温室効果ガス排出削減量の測定・報告・検証に係るガイドライン」(J-MRVガイドライン)を制定している。

 今回のワークショップにおいて、JBICの本郷尚環境ビジネス支援室長は、地球環境保全のためのプロジェクトには高い環境関連技術と膨大な資金需要を満たすための金融が重要なポイントであること、パブリック・セクターは投資環境の整備・改善、プライベート・セクターはプロジェクトの推進・牽引、開発金融機関は民間資金導入の触媒としての役割を果たすべきであることが環境プロジェクト推進に重要であること、温室効果ガス削減効果の定量化を行うための手法としてJBICが開発したJ-MRVガイドラインのノウハウをADFIAPに参加する開発金融機関を含め金融機関などと共有、共用していくことを呼びかけた。

 ワークショップ後半のディスカッションでは、J-MRVガイドラインの省エネ製品への応用可能性やCDMの方法論との差異、J-MRVガイドラインにより算定される温室効果ガス排出削減量のクレジット化の可能性、地場金融機関がGREENを活用する際の手法等について活発に議論がなされた。
 
 このワークショップを通じ、JBICのGREEN及びJ-MRVガイドラインのフィリピンにおける活用促進が期待される。

 なお、JBICはこれまでも、フィリピンにおいて、環境保全支援のための様々な活動を行ってきている。例えば、フィリピン開発銀行(DBP)をはじめとするフィリピンの金融機関等に対しCDMプロジェクト形成支援ワークショップを開催するなど、フィリピンにおける京都メカニズムの活用や温室効果ガス排出削減の促進に向けた知的貢献を行ってきている。

  また、フィリピン輸出入フィリピン輸出入銀行、フィリピン環境資源省、ランドバンクなどとの間で、フィリピンにおけるクリーン開発メカニズム(CD)推進協力に関する覚書を締結している。

 さらに、2008年8月には、フィリピン開発銀行(DBP))との間で、総額100億円を限度とする事業開発等金融の協調融資契約に調印した。この融資は、フィリピン政府系金融機関であるDBPを通じ、日本企業が排出権(京都メカニズムに基づくクレジット)購入に関心を示すクリーン開発メカニズム(CDM)候補プロジェクトに対して、日本企業に対する「排出権購入に関する優先交渉権」の付与を条件に融資を行うものである。
 
 JBICはその後も、様々な環境保全支援活動を継続してきている。今後もフィリピン各機関と協力しながら、フィリピンの環境保全、日本企業による排出権獲得の支援、また、日本企業の投資環境整備促進等を通じて、引き続き両国間の協力関係の強化に取り組んでいく方針である(11年5月27日の国際協力銀行トピックスなどより)。