双日の救急ジェット、マニラが主要搬送先に

2011/05/19

緊急患者の国際搬送サービスで重要な役割

 双日は、ボーイング社ならびにビジネスジェット世界最大シェアを誇るボンバルディア社のビジネスジェット全機種の日本国内向け販売を行っているが、さらにビジネスジェットの運航事業にも積極的に取り組んでいる。グアムを拠点とし、ビジネスジェット運航に実績のあるACI社を傘下におさめ、同社を通じて運航サービスの提供やチャーターフライトの販売をアジア全域で行っている。


 昨年9月には、新拠点であるフィリピンのスービック・ベイ国際空港での稼働を開始している。大型機10機(中型機であれば15機)を格納できる格納庫に加え、屋外に最大18機まで駐機可能なスペースを確保している。スービック・ベイ国際空港は24時間運行が可能で、アジア各地へのアクセスも良いというメリットを生かし、アジアの新規顧客を開拓していく方針。さらに、経験豊富な整備士の確保が容易なことから、将来は重整備拠点としても活用していく計画である。
 
 双日は、ビジネスジェットの特質を生かしたサービスとして、「ドクタージェット」とも言うべき、緊急患者の国際搬送サービスも行っている。2007年にACI社の新事業の一つとして設立されたCareJetでは、グアム国際空港をベースに、日本を含めた東アジア・東南アジア全域、サイパン・ミクロネシア・マーシャル諸島、オーストラリアなどにおいて患者搬送を行っている。

 患者のために特別に装備されたプライベートジェット機には、ER(緊急救命室)およびICU(集中治療室)での経験の豊富な米国認定医師および看護師が同乗し、運航経験の豊富なパイロットにより全世界での運航許可を得ている。CareJetのオペレーション・センターでは、全世界での運航管理の経験のあるディスパッチャー(運航管理者)が週7日24時間体制で待機している。必要な許可、ビザ、飛行許可など迅速にアレンジができ、必要に応じて地上での救急車やヘリコプターでの搬送も手配が可能である。

 特に多いのは、十分な医療施設が整っていないためにグアムやサイパンでは治療を受けることができない患者を、最も近距離かつ医療施設の整った都市であるフィリピンのマニラに搬送するケースである。その他、グアムに旅行中、脳出血やくも膜下出血を起こした日本人旅行者を日本へ搬送したといった例も報告されている(双日のウエブサイト事業紹介などより)。