NTTドコモ、216億円でPLDT株式追加取得

2011/05/16

JGサミットから456万株(約2%)を1株2500ペソで
NTTグループのPLDT保有比率は20%回復へ

 NTTドコモ(ドコモ)は、5月13日に、フィリピン最大の通信企業フィリピン長距離電話(PLDT)株式456万株(発行済株式総数の約2%)を、ゴコンウェイ財閥の持株会社であるJGサミット・ホールディングス(JGサミット)との間で、約2億6300万米ドル(約216億円に相当)で売買するオプション契約を締結した。


 ドコモは2006年3月に、PLDTの発行済株式の約7%を取得し、その後の追加取得により、2008年2月にはNTTグループのPLDT社への出資比率が20%超となったが、以下のようなPLDTの買収の動きなどにより、出資比率が低下しつつある。

 PLDTは2011年3月29日に、JGサミット傘下の通信企業ディジタル・コミュニケーション(ディジテル)を買収すると発表した。ディジテルは第3位の通信企業であり、携帯電話事業(ブランド名はサンセルラー)において、低価格を武器に、急速にシェアを伸ばしている。

 PLDTとJGサミットの合意によると、PLDTはJGサミットからディジテル株約32億8千万株(発行済み株式の51.55%)、ディジテルがJGサミットグループ向けに発行したゼロクーポン転換社債(186億株への転換権)などを、合計692億ペソで取得する。
 PLDTは、JGサミットに対し、ディジテル株式取得代金をPLDT新株式で支払う。PLDT株式は1株当たり2500ペソとして計算され、支払い後のJGサミットのPLDT保有比率は約12.8%となる。このPLDTによるディジテル買収は2011年6月末を目処に完了する予定であり、その後、買収に伴い発行されるPLDT新株が上場される。
 
 今回のドコモとJGサミットのオプション契約の締結は、PLDTの株式交換によるディジテルの買収が、PLDT株式におけるNTTグループの持分比率の希薄化につながることから、PLDT株式追加取得の機会を実現するものである。すなわち、オプション行使により、ドコモのPLDT株式保有比率は2%分回復し、JGサミットの保有比率は12.8%から10%に下がることになる。

 オプション契約の行使期間はPLDT社新株のフィリピン証券取引所への上場から30日となっている。取引完了後は、NTTコミュニケーションズ株式会社(NTTコム)が保有するPLDT社株式と合計して、NTTグループのPLDT社への出資比率が約20%となる。

 ドコモは今後、PLDTおよびその子会社の携帯通信企業スマート・コミュニケーションズ(スマート)との提携関係を一層強化し、PLDTおよびスマート社との事業協力委員会の活動などを通じて、両社の企業価値向上に向けて取り組んでいく方針である(11年5月13日のNTTドコモのプレスリリース、フィリピン証券取引所回覧3696-2011号などより)。