インドネシア87%、ベトナム83%、アジア太平洋60%
日本20%で初の世界最良に、世界全体では43%

　ビジネス ソフトウェア アライアンス（BSA、本部：米国ワシントンDC）は5月12日に、全世界（116カ国）における2010年1月～12月のコンピュータ・ソフトウェアの違法コピー状況を調査した「第8回世界ソフトウェア違法コピー調査」の結果を発表した。この調査はBSAが世界的なハイテク調査会社であるIDCに委託したもの。

　2010年は116カ国を対象に調査が行われた（前回は111カ国）。また、今回の調査からイプソス・パブリック・アフェアーズによるコンシューマーおよびビジネスPCユーザー1万5,000人、世界32カ国を対象とした調査が加えられた。調査結果によると、世界全体の違法コピー率の平均値は42%（前年は43%）。

　2010年のソフトウェア違法コピー率が世界で最も高かったのはグルジアの93%。以下、2位ジンバブエの91%、3位バングラデシュ、モルドバ、イエメンの90%。違法コピーによる2010年の損害額は約588億ドル（約5兆2千億円）に達した。

　2010年に違法コピー率が低水準だったのは日本の20%、米国20%、ルクセンブルク20%。2位はニュージーランドの22%。日本の違法コピー率は前年比1%減の20%で03年の調査開始以来、初めて世界1位（米国、ルクセンブルクと同位）を達成。しかし、損害額は約16億ドル（約1431億円）で、世界ワースト10位（前年8位）という結果だった。

　アジア・パシフィック地域の2010年違法コピー率は60%（前年59%）。同地域の違法コピー率上位はバングラデシュ（90%）、インドネシア(87%）、スリランカ（86%）、パキスタン（84%）、ベトナム（83%）など。また、同地域の10年損害額は187億ドル（前年165億ドル）、03年の75億ドルから2倍以上拡大した。同地域の損害額ワースト国は中国で77億7,900万ドル（世界第2位）、次いでインド27億3,900万ドル（4位）、日本16億2,400万ドル（10位）、インドネシア13億2,200万ドル（11位）、タイ7億7,700万ドル（15位）、韓国7億2,200万ドル（16位）、豪州6億5,800万ドル（19位）、マレーシア6億0600万ドル（20位）。

　フィリピンの2010年違法コピー率は69%で、2007年から4年連続で同水準。ちなみに、04年～06年は71％であった。2010年の違法コピーによる損失推定額は2億7,800万ドル（前年2億1,700万ドル）で、2007年の1億4,170万ドルから倍増した。2006年は1億1900万ドル、2005年は7,600万ドル、2004年は6900万ドルであった。損害額は2004年から6年間で4倍強となっている。

　なお、この調査は、デスクトップ、ラップトップ、ウルトラポータブルなどのPC上で動作するすべてのパッケージソフトウェアを対象にしている。サーバや大型汎用機用ソフトウェアなどのソフトウェアはこの調査には含まれない。

　違法コピー率の算出は、「該当年度ソフトウェア違法コピー数」を「該当年度にインストールされたソフトウェア総数」で割った百分率として算出している。上記、違法コピー数は、「当該年度に稼動しているPCにインストールされたソフトウェア総数」と、「該当年度に正規に出荷されたソフトウェアの本数」との差によって求められる（11年5月12日のビジネス・ソフトウェア・アライアンス｛BSA｝のプレスリリースより）。

　2010年違法コピー関連ランキング(損害額単位は百万ドル）

高違法コピー率上位15カ国		低違法コピー率上位15カ国		高違法コピー損害額上位15カ国
グルジア	93%	日本	20%	米国	$9,515
ジンバブエ	91%	米国	20%	中国	$7,779
バングラデシュ	90%	ルクセンブルグ	20%	ロシア	$2,842
モルドバ	90%	ニュージーランド	22%	インド	$2,739
イエメン	90%	豪州	24%	ブラジル	$2,619
アルメニア	89%	オーストリア	24%	フランス	$2,579
アゼルバイジャン	88%	ベルギー	25%	ドイツ	$2,096
ベルラーシ	88%	フィンランド	25%	イタリア	$1,879
ベネズエラ	88%	スウェーデン	25%	英国	$1,846
リビア	88%	デンマーク	26%	日本	$1,624
インドネシア	87%	スイス	26%	インドネシア	$1,322
スリランカ	86%	ドイツ	27%	メキシコ	$1,199
ウクライナ	86%	英国	27%	スペイン	$1,105
イラク	85%	カナダ	28%	カナダ	$1,066
パキスタン	84%	オランダ	28%	タイ	$777

　(出所：ビジネス・ソフトウェア・アライアンス(BSA)発表資料より）