住友金属鉱山、フィリピン事業基盤一段と拡充へ

2011/05/12

NAC社傘下の金鉱企業に25%出資、40%に引上げも

 住友金属鉱山が、フィリピン最大のニッケル鉱山会社であるニッケル・アジア・コーポレーション(NAC社、本社:マニラ・マカティ市)との間で、NAC社傘下のコルディリア・エクスプロレーション社(CEXCI)の株式25% を、150万米ドルで取得することで合意、合意書に署名した。

 合意によると、住友金属鉱山は、CEXCI株式を15%追加取得できるオプションを有しており、このオプションを完全行使するとCEXCI株式40%を保有することになる。CEXCIは、北部ルソン島コルディリア自治区に4つの金・銅の開発区域を有している。特に、アパヤオ州のマンマノック鉱脈は探査活動が進展、有力鉱山として開発されると期待されている。 NAC社は、010年に、アングロ・アメリカン・エクスプロレーション社からCEXCIを取得した。

 この出資により、住友金属鉱山のフィリピン事業基盤がさらに拡充されることになる。住友金属鉱山は従来回収困難であった低品位のニッケル酸化鉱からニッケルおよびコバルトを回収する技術であるHPAL(High Pressure Acid Leach =高圧硫酸浸出)の商業生産化に成功し、2005年からフィリピンのコーラルベイ・ニッケル・コーポレーション(CBNC)で、ニッケル中間製品であるMS(ニッケルコバルト混合硫化物)の生産(年産能力ニッケル量換算2万4千トン)を行っている。

 また、タガニート・エイチパル・ニッケル・コーポレーション(THPAL)においても、2013年のHPALによるMS生産開始(年産能力ニッケル量換算3万トン)をめざして、現在フィリピン・ミンダナオ島でニッケル製錬プラントの建設を進めている。NAC社にも2011年3月末時点で19.96%(個別株主名が明示されている分)の出資を行っている。

 住友金属鉱山のフィリピンニッケル事業拠点などの概要は以下の通り。
・住友金属鉱山フィリピン・ホールディングス(SMMPH)
資本金 :25億ペソ、出資比率 :住友金属鉱山100%、
本社: マカティ市、代表者 :藤村隆則氏

・コーラルベイ・ニッケル・コーポレーション(CBNC)
資本金 :5億8750万ペソ
出資比率 :住友金属鉱山 54%、三井物産 18%、双日18%、リオツバ・ニッケル・マイニング10%
本社:パラワン州バタラサ郡リオツバ、代表者 :藤村隆則氏

・タガニート・エイチパル・ニッケル・コーポレーション(THPAL)
資本金 :540万ペソ
出資比率 :住友金属鉱山 62.5%、ニッケル・アジア22.5%、三井物産15%
本社所在地:マカティ市、代表者 :藤村隆則氏(11年5月11日のフィリピン証券取引所回覧3549-2011号などより)。