比中央銀行、政策金利0.25%追加利上げ

2011/05/06

3月24日に引き続き:インフレ圧力に対応

 中央銀行(BSP)金融委員会は5月5日の定例会議(年10回開催)において、政策金利である翌日物金利を0.25%引上げ、翌日物貸出金利6.50%、同借入金利4.50%にすると決定した。前回(3月24日)の定例会議において、2009年7月以降最低水準に据え置かれてきた翌日物金利が0.25%引き上げられたのに続いて、今回連続で0.25%引き上げられた。


 今回の利上げ決定は、インフレ圧力の高まりと拡大の兆しやインフレリスクの上振れの可能性に基づいたもの。同日に発表された2011年4月の総合消費者物価上昇率(対前年同月比:2000年基準)は4.5%(速報値)に達し、前月の4.3%(改定値)から0.2%ポイント上昇。また、コアインフレ率(2000年基準、特定食品及びエネルギー関連品目を除く)は3.8%で前月の3.5%から0.3%ポイント上昇した。

 中央銀行は、これまでの超緩和政策のままでは、インフレ率が政府の基本政策であるインフレ目標(2010年は3.0~5.0%)圏内に収まらない危険性が高まると判断、追加利上げを決定した。

 また、今後もインフレリスクや一時産品市況急上昇の影響を注視していくと表明するとともに、「必要ならば物価安定のためのさらなる措置を講ずる用意がある」と強調した(11年5月5日のフィリピン中央銀行発表より)。

 インフレ目標と実績(いずれも2000年基準)
  2008年 2009年 2010年 2011年 2012~14年
公式インフレ目標 3.0~5.0% 2.5~4.5% 3.5~5.5% 3.0~5.0% 3.0~5.0%
インフレ率実績 9.3%(実績) 3.2%(実績) 3.8%(実績)
 (出所:中央銀行資料より作成)

 なお、インフレ率予想(Forecast)とインフレ目標(Target)が混同されることが多いが、両者は異なるものである。予想は単純な見通しであり環境が変化すればその都度変更されるものである。一方、インフレ目標(Target)は金融政策の基本的枠組みであり、それを基準として各種政策が決定されるものであり、頻繁に変更されるものではない。