408億円の対フィリピン円借款、JICA調印
2011/04/03
日本、フィリピンの道路改良・補修支援
日系企業の活動円滑化等を側面支援
国際協力機構(JICA)は、3月31日、フィリピン政府との間で、「道路改良・保全事業」を対象として、総額408億4,700万円を限度とする円借款貸付契約に調印した。
「道路改良・保全事業」は、フィリピン全域において総延長約1,400kmの幹線国道の舗装改良や道路維持管理体制強化を行うことにより、輸送能力・効率を向上させ、道路サービスの持続性を確保することを目的としている。完成予定時期:は2020年12月(長期性能規定型維持管理契約完了日をもって事業完成)。
今回の貸付資金は国道の舗装改良や補修に係る土木工事、災害復旧対策、過積載対策等のための機材調達、コンサルティング・サービス(詳細設計、入札補助、施工監理、公共事業道路省の道路維持管理にかかる能力強化)費用等に充当される。
道路交通はフィリピン最大の輸送手段であり、旅客輸送の約9割、貨物輸送の約5割を担っている。このように重要な輸送手段を支えるために、フィリピン政府は道路網の整備を重点的に推進してきた。しか、道路網の拡張に力点が置かれてきた一方で、依然として未舗装の道路が多く、効率的な輸送を実現する基幹道路としては十分な機能が果たせていない。また、道路維持管理体制についてもソフト(制度)・ハード(機材)両面で課題があり、道路サービスの持続性確保のためには、更なる維持管理能力の強化が求められている。たとえば、既存道路資産を有効活用するためには、道路の舗装に深刻な損傷が生じる前に既存舗装を強化するなど、予備的維持管理を実施していく必要がある。
フィリピンには、現在800社以上の日本企業が進出しているが、2008年に日比経済連携協定が発効し、日比間の経済活動は近年益々活発になっている。一方、脆弱なインフラは現地における企業活動の阻害要因となっており、特に最も重要な交通手段である道路網整備については、フィリピンで活動する日本企業からも改善要望が多く挙げられている。「道路改良・保全事業」の対象には、日本企業の主要な活動拠点に隣接した道路も含まれており、これらの拠点の交通アクセス改善も見込まれる。このように「道路改良・保全事業」事業は、フィリピンの物流の大動脈である主要幹線道路の輸送能力・効率を長期に亘って確保することにより、日本企業の現地での活動の円滑化、投資促進を通じて、フィリピン経済の更なる成長に資するものである。
さらに、「道路改良・保全事業」事業では、貧困地域の未舗装国道を舗装することにより生計向上や災害時の道路アクセス改善に貢献することも期待される。
今回の借款は一般アンタイド、融資期間は25年(当初7年間は返済猶予期間)。年利は、本体部分が1.4%、コンサルティング・サービス部分が0.01%(11年4月1日のJICAプレスリリースより)。