長大のミンダナオ開発事業、世界優良10事業に

国連委員会選定、ブトゥアン市地域事業を高評価

2017/05/29

 総合建設コンサルタントの長大(本社:東京都中央区)は、2011年よりこれまで、フィリピン共和国のミンダナオ島北東部に位置するブトゥアン市を含む周辺地域で、同市に本社を置くエクイパルコ・コンストラクション社及びツインピーク・ハイドロ・リソーシス社と共に、雇用創出、賃金上昇を目的に様々な事業を通して地域開発に貢献すべく取り組みを進めてきた。

 国連・欧州経済委員会(UNECE)は、日本とフィリピンの企業が、インフラ開発から農林水産業、そして工業団地の開発まで3つのステップを踏みながら、民間主導による複数のPPP事業を通じて、地域開発に向けて取り組む点を高く評価、この「フィリピン、地域開発、ブトゥアン市地域開発プログラム」を、世界から集めたベスト・プラクティスの10事業の1つに選定した。ブトゥアン市の事例は、東南アジアから選定された唯一の事業になる。

 長大は、UNECEが、5月9日~11日の3日間にわたって、香港城市大学で開催した国際PPPフォーラムに参加、10日に設けられた「ピープル・ファースト(人間第一)のPPPケーススタディ」(People First PPP Case Studies)のセッションで、加藤聡マニラ事務所長が、東洋大学のサム田渕教授と共に登壇し、これまでの現地での取り組みについて発表をしている。

 まず長大は、ミンダナオ島最大のゼネコンであるエクイパルコ社、ツインピーク社、ハイドロリソース社の現地企業3社と共に、ミンダナオ島北東部で3つの水力発電事業−「アシガ川小水力発電事業」、「タギボ川小水力発電事業」、「ワワ川小水力発電事業−の開発を進めている。
 
 2015年には、バイオマスパワーコンサルタント(BPC)、大宮製作所、コントロール・ユニオン・シンガポール支店(CUS)と共に、エクイパルコ社及びツインピーク社と、ミンダナオ島北アグサン州及びブトゥアン市周辺において、バイオマス発電事業に共同で取り組むことで合意した。

 合わせて、長大では、2014年10月14日、タギボ・アクアテック・ソリューションズ(TASC)に5%出資し、ブトゥアン市水道公社への水を一括供給するコンセッション契約を締結した。この事業は、人口増加や井戸水の使用規制等によって増加が続く水需要に応えるために、厳しい財政状況にあるブトゥアン市水道公社に代わって、TASCが新規の設備投資と維持管理を担い、2015年から25年の長期にわたって事業運営を行い初期投資の回収と収益をあげるPPP(官民連携)事業である。

 また、エクイパルコ社らと、ブトゥアン市において、農林水産・食品加工分野に特化した工業団地(PEZA)の開発に共同で取り組んでいくことについて合意している。さらに、現在、日本の技術の現地への技術移転も進めながら、エクイパルコ社が主導でブトゥアン市周辺において進めている稲作や精米事業、ウナギやエビの養殖、飼料製造事業といった農業系のプロジェクトにも関与している。これまで土壌改良によってコメの収穫量を倍増することに成功している。また、ウナギの養殖には日本の技術を導入、日本などへの輸出も軌道に乗りつつある。

 長大は引き続き、日本政府が推し進める質の高いインフラ輸出や低炭素社会の構築にも沿った形で事業の推進を図り、現地の地域開発、引いてはミンダナオの和平実現に貢献していきたいと考えている。また、日本企業や日系機関とのパイプ役としての機能を担い、日本の政府系機関や地方自治体、民間企業による当地での事業の参画機会を最大限に増やしていきたいとも考えている。
 
 なお、長大は、JICAと上智大学が共催して、6月9日に開催される「平和構築セミナー『フィリピン・ミンダナオ和平と日本の貢献』」にも、唯一の民間部門から招聘を受けており、加藤聡マニラ事務所長がパネルディスカッションに登壇予定である(17年5月25日の株式会社長大ニュースリリースなどより)。